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RBエンジン開発秘話(?)

以下の文はHYPER REV Vol.11に出ていた設計担当者が語ったRBエンジン開発ストーリーです。
文章は当時のまま掲載します。


日産の主力エンジンL型の後継として生まれたRB型 

 R32、そして現行のR33スカイラインのメインエンジンは、直列6気筒のRBエンジンだ。
このRB型は最初、2リッターの2バルブのSOHCとして登場し、ローレルに搭載された。
そのローレルの新車試乗会で、新登場となったRBエンジンにタイして私は、よく回り、そして力強く気持ちのいい、エンジンらしいエンジンだ、と言う印象を持ったことを今でも思い出す。

 そのところをRBエンジンの設計者である石田宣之は、次のように語っている。
 「トルクの山を4000rpmに持ってきて、メリハリのあるエンジン特性を意識した。」と。
その後、このRB型にはハイパワーをねらった4バルブDOHCが加わり、R31型である7thスカイラインや、全く新しい車種として登場した、初代FRセフィーロなどにも搭載された。

 一方日産には、このRB型エンジンの誕生を前にして、同じ6気筒でもV型レイアウトを持つVG型エンジンが新しく生まれていた。そ
ちらはFR車のセドリック/グロリア、そしてフェアレディーZにも搭載されることになった。

 そのV6が先に誕生してもなお、それまでのL型の後継として直列6気筒を登場させるだけの意味合いをRB型は持っていた。それは冒頭にも述べたように、スポーティーで、かつ車好きなエンスージアストを満足させるための、味わいあるFR用エンジンが必要だという考えだった。

 RBエンジンの先代に当たるL型エンジンは、セドリック/グロリアと言った上級セダンから、スポーティセダンのスカイラインGT、あるいは2シータースポーツカーのフェアレディーZにも搭載され、日産のマルチシリンダーエンジンの中核を成していた。エンジン排気量は、2リッターの他に、2.4、2.6,2.8、そしてディーゼル用のクランクを使えば、3.2リッターまでの広い範囲をカバーしていた。ショップでのチューニングも様々に行われ、遊べるエンジンでもあった。

 一方で、エンジンそのものの洗練さという点においては、回転のふけ上がりが重々しく、燃費があまりよくない、またエンジン重量が重いという問題点があった。もっとパワフルに、そして燃費ももっとよくと言った、80年代の要求に応えるには、どうしても世代交代が必要だった。

 これらの問題点を一挙に解決しようと言うのが、RB型の基本構想である。最初は2バルブSOHCで登場することになったが、もちろんDOHC4バルブの高性能エンジンとなるべく当初から考えられており、L型のカウンターフローからRB型はクロスフローの給排気配置となっっていた。

 対してボア×ストロークは、結果的にL20型と同じになっている。
 「7500回転まで問題なく回そうと考えると、ピストンスピードの兼ね合いでストローク値が決まり、ねらった馬力を達成しようとするとすれば必要な空気をシリンダー内へ入れるためのバルブ径が決まるので、つまりボア径が決まってくる。そこから割り出した値が、
78mm×69.5mmというボア×ストロークなのであり、結果的にたまたまL型と同じになったと言うことです。」と石田は語る。また、このボア×ストロークは、一足先に誕生していたV6のVG型とも同じであった。

 エンジン工場の設備を流用するという理由もあって、鋳鉄ブロックであると言うところもL型と同じになった。ただしブロックの高さを
20mmほど低く押さえ、軽量化に気を配った設計となっている。

 この時代、アルミ鋳造ブロックの登場などもあり、軽量化を図ったエンジンというのが一つの流行となりつつあった。だた、そういった時代にあえて鋳鉄ブロックを採用した設計には、単に工場設計のからみだけでなく、設計者石田のエンジンに対するしそうの裏付けでもあった。
 「軽く作ろうと言うことで何もかもを軽くしてしまったのでは、スポーティーな上級セダンに見合う質感のあるエンジンにはなりません。基礎となるブロックをヘッドはがっちり作り、クランク、ピストン、コンロッドといった中の回転部分は軽く作ることでフリクションを減らす。またよい燃焼を得るために燃焼室はできるだけコンパクトにする。そういう狙いがありました。」

 エンジン全長が長くなる直6では、クランクシャフトの振動も気になるところだが、そこはフルベアリングビームを採用することによって、しっかりと支えている。本来2次慣性力や2次慣性偶力で完全なバランスのとれる直6エンジンの上質さが、それでいっそう増すことになる。

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性能だけでなくその音質の良さにもこだわって開発

 ブロックやヘッドをしっかり作ることは、制振性の面で好結果を生むのだが、さらに石田は語った、「エンジンの音質と言うことには常にこだわっています。静粛性という点から考えても、計測器で測定した音すべてを静かにしようとすると大変で、コストもかかりますが、人の耳に心地よい音を追求していけば、聞こえていても不快にはならない音の在り方がわかるわけです。

 音質をよくするためにはブロックやヘッドをしっかり作った方がいい。ところが、どうすれば音質のよいエンジンになるのかというと、決まった設計法があるわけでなく、これはもう経験と試行錯誤でやって行くしかないのです。
 
 エンジンの音質という点では、当時もスカイラインの主管出会った桜井慎一郎がエンジンの音にこだわる人で、『シュンッと回るエンジンを作ってくれ』と私に言いまして・・・、まあ浪花節的な人ですから、そういわれるとその気になりますよね。」

 RB型エンジン特有の気持ちよさは、力強くそしてよく回るというそのエンジン特性だけでなく、エンジン回転とともに微妙に変化する音の質もあることをオーナーはすでに気が付いているはずだ。こういったフィーリングに訴えかけるというこの特長は、設計の段階からもうすでにこのエンジンに折り込み済みだったのである。
 
 こういった考えもあって、石田がRB型エンジンの設計に入ったのは82年のこと。76年に日産に入社した石田は、ツインプラグのZ型エンジン、L型エンジンの軽量化とターボか、CA型エンジン、VG型のシリンダーヘッドの設計に関わり、その後RB型の設計を手がけることになった。
 
 設計の実務担当としてはもっとも脂ののりきった時期であり、石田自身の設計思想を存分に盛り込んだエンジンとしてRB型を開発することができた。

 ここまで、音質や振動のことを中心に話したシリンダーブロックとヘッドについてさらに詳しく紹介してみよう。エンジンブロックとシリンダーヘッドにはそれぞれウォーターギャラリーが設けられており、かつシリンダー間にも冷却水が流れる通路を確保してある。この結果、十分なエンジン冷却性能を満たしている。また冷却水の流れはヘッドとブロックで別々になっており、ヘッドを7、ブロックを3という割合で冷やしている。

 これらは高性能エンジンにとって重要なポイントだ。単に軽量コンパクトという視点だけでエンジンをとらえれば、ウォーターギャラリーなど設けずに、シリンダー間もできるだけ詰めた設計の方がいい。

 しかしその結果、前方のシリンダーから冷却水が順に流れて後方のシリンダーの冷却を行うようになるのだから、各気筒ごとの冷却は均一にはならない。つまり、そのままパワーアップしていった場合には必ず後方のシリンダーが熱の問題にぶつかり、エンジンが本来発揮できるはずの性能を100%生かし切れることができないと言うことになる。

 だからこそ、RB型ではウォーターギャラリーを熱にもっとも厳しい燃焼室のあるヘッドに設け、さらに冷却水の流れをブロックと分けてヘッドを重点的に冷却できるようにしているのである。

 RB型エンジンシリーズの中でもっともパワフルなGT−R用のRB26型においても、そうした基本設計部分には新たに手が加えられることはなかった。燃焼圧があがることによるヘッドボルトの径の拡大などといった細部の調整だけですんだのも、基本設計がまじめに行われたからである。

 シリンダーヘッドの燃焼室は、小型化のためペントルーフ型としている。燃焼室を小さくする理由は、燃焼室内の混合気を短時間に燃やし尽くすためだ。それはDOHC4バルブに限らずSOHC2バルブのRB型でも同様で、燃焼室形状はペントルーフ型で、燃焼室中央にプラグがくる設計となっている。

 燃焼室を小さくかつピストン頭頂部を平面とするために、バルブ挟角は給排気とも23.5度の計47度としている。それ以上狭ければバルブとピストンとの間に隙間を確保するための凹みをピストン頭頂部に作らなければならず、その結果燃焼室の面積は大きくなる。一方バルブ挟角を広げればピストン頭頂部を凸にしないと圧縮比を上げられなくなり、やはり燃焼室が大きくなる。バルブ挟角は単に狭くすればいいものではないのである。 ・・・まだだま続きます。続きは後ほど・・・

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