D810現像法 by Adobe Photoshop CC (第2版)[2017/10/04]

 

前回D810現像法を発行してから一年たった。その後多くの人達の写真を見る機会もあり、さらに良質な仕上げを望んで検討を重ねてきたが一応多少の改善を得られたので、このページをアップデートすることにした。大幅な改善は無いものの細かな点での改善を重ねることで、限界に近づけるという意味での努力である。



1. 現像法の選択

現像ソフトは様々なものが発売されているが、私はAdobe Photoshopに絶対的な信頼を持っている。設定などについては直感的であり、自動的に勝手な設定をしないところも良い。また他のソフトに比べて多くの設定項目が私の過去からの現像法設定に経験を活かせるというところも魅力である。頻繁にアップデートされているところも良いが、私の欲しい機能も追加されて行くところも良い。

 

 

2. D810撮影時の設定

右にD810のDXOの測定したダイナミックレンジの絵を示すが、ISO50まで直線的に伸びている(すなわちISO400-12EV, ISO200-13EV, ISO100-14EV, ISO50-15EVとなっている)。これはCanonの5D系ではISO400以上では直線的であるが、ISO400以下の低感度では12EVで頭打ちとなっているのと異なる。これは設定ISO50で露出補正を-3EVとした場合低レベルのダイナミックレンジが12EV確保でき(これは5Dでも同じ)さらに高レベル(明部)が3EV飽和値が伸びる事を意味している。

D810の最低ISO値は64であるが、50と考えてもそう大きな違いはない。つまりISO64で-3EV撮影すればISO400のシャッタースピードを稼げて、ダイナミックレンジもそれ以上のものが得られる事になる。この点は5D系に対する大きなアドバンテージである。

従って、常にRAW撮影とし感度設定はISO64とし-3EVで撮影する事とする。この方法では背面の液晶モニターには暗い絵しか表示されないが、フィルム撮影を考えればそれよりはましである。AFやAEに関しては個人の力量によるがAEは多少狂っても現像時の補正が楽となる。その他の設定に関してはRAWの場合設定に影響されないのでどうでも良い。

2.1 D810撮影時の設定(再考)

 

理論的には上記の記述に間違い無いが、ここ2、3年運用して見ると絵によるが、暗い部分の色バランスが悪い絵がある(マゼンタ被り)。これは露光補正が過度の場合全体の露光が低くなり過ぎて暗い部分の階調が不足している為と思われる。全体のダイナミックレンジが14EV以上ありながら、RAWが12ビットしかないので仕方がない。低照度でカメラ自体のグレーバランスがズレていることも原因である。

これを避けるには絵ごとに最適な露出値を設定することが理想であるが、私の様に評価測光に任せる面倒くさがりには無理である。そこで今回は、

3. Adobe Camera RAW現像法

 

ここでBridgeにより起動されるACRの画面を見ておこう。ここで述べる現像法はほとんどがこの画面からの設定となる。

 

 

3.1 出力Profileと階調の選択

 

この画面中央下部に見えるProfileと階調の設定をAdobe RGBと16 bitとしておく。これはPhotoshop上に展開された画像をどのように扱うかの設定であるが、広い色域を持ったAdobeRGBを剪定する。Photoshop上は仮想空間であるので、たとえモニターがsRGBであってもここではAdobeRGBを選択する。最終出力はほとんどの場合sRGB(8bit)のjpeg画像になると思うが、Photoshop内においての処理では色飽和やトーンジャンプを起こさないためにも上記設定が重要である。

3.2 ガンマ値の設定 (Obsolete)

 

一頃現像法といえば、ガンマ値の設定がどうのこうのという話が必ず出てきて、MacではいくつでWindowsではいくつだという論議が盛んであったが、もう現像法においてこの言葉は死語であり、最新のACR画面の設定には出てこない。ただガンマ補正が亡くなった訳ではなく、実際には現状にあった値(2.2)が適用されている。もともとガンマ値とはCRTの白伸びしすぎる特製を黒伸長・白圧縮の補正系数であるが、液晶画面やプリンター画面においてその値は無意味であるが、設定された値をシュミレートするために必要となる。その値(2.2)は現在インターネット標準として使用され、モニターのキャリブレーションに適用され、現像時のガンマ補正係数として用いられている。

3.3 グレーバランスと色温度

 

私のこれまでの現像法における論議の中でグレーバランスの重要性について何度も強調してきたが、D810の色温度設定の正確性などを見るうちにあえてグレーバランスを取る必要性はないと考えを改めるに至った。

 

これまで、トーンカーブでRGBごとのカーブを調整して、グレーバランスを取っていたいたが、今回は基本設定において、色温度設定を調整して階調ごとのヒストグラムにおいてRGBが重なるようにしてみた。正確ではないにしろ、ある温度において重なっているので、この設定を信用する事にした。

つまり、この絵では5600°Kでヒストグラムが重なっているので、この時の色温度は5600°Kであると考えることにした。一般的に太陽光の色温度は5400°K程度と言われているようなので、当たらずといえど遠からずと言ったところである。

3.4 設定画面

3.4.1 基本設定

 

左に基本設定画面のキャプチャーを示す。色温度設定については色温度5000°K、色かぶり補正0が標準である。グレーバランスの項目で太陽光はもっと高めであるが、標準としてこの値を使うのは一般的なフィルムの色温度設定が5000°Kである事を鑑みてである。フィルムの色温度設定がこの値である事はこれまでの様々な状況で決定されたものであるからして、私の現像法もこの値を取り入れる事は悪くはないと考えた。確かに太陽光下の撮影であっても表現は青っぽくなるが、特に違和感はなく表現的には美しいと感じる。

 

露光量に関しては画面ヒストグラムを見て最適な値を主観的な値を選ぶと良い。この設定は基本的に露出の誤差を補正するものであるが、後に述べるトーンカーブの設定値によるところが大きい。私の場合-3EV撮影を推奨しているので、トーンカーブもそれに合わせた設定になっており、大方の場合設定は0から1の範囲に収まっている。

 

コントラスト、ハイライト、シャドウに関しては設定値を0とし、トーンカーブにその設定を任せている。

 

白レベルは-100に、黒レベルは+100とし、すべての階調成分を使用するようにしている。これも白圧縮、黒圧縮に関してはトーンカーブでの特性に任せる設定になっている。

 

明瞭度、自然な彩度、彩度に関しても全て0に設定している。これも上記同様にトーンカーブにその表現を任せている。

 

このようにほとんどの設定はトーンカーブよって表現されるように設定され、彩度の表現までトーンカーブによっているのは信じられないであろうが、それほどトーンカーブが全ての表現を実現する事ができる。しかしながら、ACRではトーンカーブを直線にしてもそれぞれのバーを最適に設定する事により、多くの表現が可能であるのも事実である。それに最新のACRでは、バーにより直感的な表現が可能であり、過去のソフトでよくあるコントラストを増加すると彩度も増加するという事もなくなり、より良くなっている。ただ私の場合直感性の問題はあるものの経験から絶妙な表現を可能とする、トーンカーブの設定のみによる表現を行っている。

 

 

3.4.2 トーンカーブ

右に私のトーンカーブの設定を表示している。ここではパラメトリックではなくポイントでカーブを設定している。この設定の基本は2つのポイントで、S字型の特性としている点である。考察として銀塩フィルムの特性を示して説明しておく。銀塩の場合ダイナミックレンジは非常に広くデジタルのようにそう簡単に飽和する事はない。これは光の当たった部分の特性が穏やかに変化しており、強い光ではそう簡単に白飛びしない。ネガの現像でもリバーサルの現像でも同様であるが、第一の露光(シャッターを押した時)では明るい部分がこれに当たる。さらにプリントやリバースの為に二度目の露光が行われるが、これは暗い部分がこれに当たる。従って銀塩でもその表現はS字型となり、2点で表現される三次関数となる。

 

私の場合は-3EV撮影であるので、これに合わせてS字型の中心は暗部に位置する。またこの形はコントラストと彩度に影響を与える。このカーブが立っている部分のコントラストが高くなり、また彩度も高くなる。これは基本設定に於ける彩度バーとは違って、中央部の彩度が高くなり明部及び暗部の色は薄くなる。このカーブの立ち方で各種のフィルムをシュミレートする事ができ、PROVIAを目指したが、多少Velviaによっているかもしれない。あまり立たせると中央部の彩度が高すぎて色温度調整が微妙隣ってくる。この影響がないので、モノクロの場合さらに立たせる事ができ、モノクロフィルムのような、高いコントラストの表現も可能である。

 

作成のコツは明部及び暗部で飽和させないように2点を配置していく事であるが、2点に限定させなければ、極端なトーンカーブを作成可能であるが、結果としてありえない不自然な表現になってしまう事も覚悟しなければならない。2点にこだわる事により絵が不自然になる事はなく、今まで無限にあった、トーンカーブの設定を合理的に配置できるようになった事は喜ばしい。

 

 

3.4.3 ディテール

ディテールの設定はシャープとノイズ低減である。シャープに関しては、私の昔からの主張である現像段階でシャープネスをかけるべきではないという理論を踏襲して適用していない。

 

ACRのノイズ低減機能は一般的な評価が高い。高感度撮影時のひどいノイズもこの設定で綺麗に消す事ができる。以前はこの設定を強めにかけていたのであるが、ノイズのない場面でも同系色の場面でコントラストが取れない事がわかり、最近は弊害がでない程度に最適化している。輝度は20程度、カラーに関しては50程度にしている。カラーは偽色の発生を抑えるのに有効である。

 

 

3.4.4 HSL/グレースケール

 

以前から現像法の検討でどのデジカメでも同じであるが木々の緑の表現が気に入らないと思っていた。いつも緑が黄によっている気がしていたがしたが調整されているはずのカメラがそんなハズはないと思い各色ごとの位相までいじる気がしなかった。しかし、ある機会があり、実際と撮影画面を一緒に見る機会があり、確かにずれている事が確認できたため、これを設定する勇気がでた。

 

この点は今でも赤外線の影響とかミラーボックス内

の被りの影響など他の要因があると思っているが、しばらくはこの設定でいきたいと思っている。

 

 

3.4.5 レンズ補正

 

ここは主にパープルフリンジ(PF)の補正に使用する。デジタルカメラに於けるPFはほとんどの場合階調の非直線性から発生するもので、レンズ本体から発生するものはごくまれであると考えている。以前にD800で0EV撮影するとひどいPFが発生していた。-3EV撮影ではこの発生はほとんど無くなった。飽和によるPF発生でもここの設定で軽減する事はできるが、弊害も大きい。キャプチャーは現在の設定である。

 

 

3.4.6 変形

変形は以前はレンズ補正の一部であったが、最新のバージョンではダイアログを出すのが多少手順が複雑になった。変形は広角の補正(台形補正)に有用であり、シフトレンズの購入に頭を悩ます事がなくなった。また手持ち撮影の場合気をつけていても水平・垂直を出せない撮影がでてしまい、これを補正するのに非常に有用である。ただこれを多用すると最終の絵が狭い範囲でしか完成しない。

 

ただ現在のデジタルカメラの出力は様々な補正によって、画素数の出力にはなっているが、実際の撮影画像と出力画像がドットバイドットになっていない事に心しなければならない。

3.5 現像手順とXMPファイル

 

私の場合撮影後一枚一枚一時的に現像を行いXMPファイルを作成する。この時一枚ごとに調整するのは露出補正と必要に応じて変形の項目である。それ以外はテンプレートとして、D810設定に上記の値を設定している。この設定ファイルとしてHomeにD810(c)mun2jp.xmp として公開している。露光量にと変形に関しては一枚ごとに異なるので、このファイルに設定されていない。何度も別のパラメーターを適用して試すのにこの方法は有用である。一枚ごとの設定結果は元のRAWファイルと同名のXMPファイルに保存されるので、のちにPhotoshop本体での処理と合わせてバッチ処理を行えば、DirectoryごとJPEGファイルとして出力する事ができる。


4. Photoshop本体での処理

4.1 Photoshop Actionの設定

Photoshop上に設定されたアクションを順に説明する。前述の設定のように画像はAdobeRGB 16bitで読み込まれる。(ただRAW自体は14 bitである。)

 

まず、読み込んだ画像に0.4 pixelのぼかしを加える。現像してすぐの画像はベイヤーゆえのシャープネスがかかり、エッジが立つので、これで取り除く。同時にこの作業により、14 bitの階調が16 bitに拡大される。

 

次に0.9 pixel 100%のアンシヤープマスクをかけ等倍で見た時の解像感をぼかし以前に戻す。

 

その後、JPEG保存のためにProfileをsRGBに変換し、モードを8 bitに変換する。

5. ディスプレー(モニタ)のキャリブレーションとPhotoshopの校正設定について

 

Photoshopに限らず、モニターはキャリブレーションされなければならない。現在のインターネットアクセスの標準はsRGBであるので、モニターも(例えモニターがAdobeRGB対応であっても)sRGBにキャリブレートすべきである。これはWeb上のほとんどの画像はprofileをほとんど意識しておらず、sRGBに近い色域で作成されているからである。しかしながら、Photoshopを含め対応するブラウザーではproflieの埋め込まれた画像に関しては正しい色で表現され、sRGBに校正されたAdobeRGB

対応モニターでもAdobeRGBの色域を表現する事ができる。

Photoshopでは、様々な状況下で現在の画像がどの様に見えるかという機能を実現している。通常の作業は「色の校正」にチェックを入れないで行われ、表示は自動的に読み込まれた画像のprofileに合わせられるので、意識する事はない。

 

例えばAdobeRGBの絵を「色の校正」にチェックを入れ「校正設定」でsRGBを選択すれば、sRGBモニターで見た状態になり、色が薄くなる。また絵をsRGBにプロファイル変換してからの色は全く同じとなる。「色の校正」をOFFにしている環境下においてはProfileをどう変換しようが、表示が変化する事はない。

 

選択を「モニターRGB」にした場合、モニターがsRGBならばsRGBと同じになるはずであるが、私の場合若干色がくすむ。これはモニターがsRGBの色域をカバーしてないためと思われる。

6. この現像法による結果

 

この現像法による出力とCamera RAWのディフォルトでの出力の比較を下記に示す。左がディフォルト、右がこの現像法による結果である。

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