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最近読んだ本

このページでは、新刊文芸書を中心に、私の読んで面白かった本を極私的コメント付でご紹介しています。

今後はブログにより適宜紹介していきます。(2008-10-22)



広瀬隆氏の「普及版 世界石油戦争」、「普及版  世界金融戦争」()NHK出版)を読みました。氏とは考え方に違いがあるのですが、2002年に刊行されたこの本が今2008年の世界状況を語るのに役立つという事実がこの本の価値を表わしています。氏の陰謀説には諸手を上げて賛成はしかねるのですが、読んでおいて損はない力作です。

ロバート・B・ライシュ氏の「暴走する資本主義」(東洋経済新報社)を読みました。またまた勝間和代氏の推薦です。ライシュ氏については「ザ・ワーク・オブ・ネーションズ」を読んだりクリントン政権の労働長官だったことは知っていましたが、最近はあまりフォローしてませんでした。しかし本書での一人の中の市民と消費者・投資家との対立という考え方で、自分としても悩んでいた問題にすっとはまった感じがします。アメリカで超資本主義が民主主義を害してることが述べられていますが、日本においても同様な問題は発生しつつあると思います。それに対処していくための処方箋としてこの本に上げられている政策は有効なのかもしれません。(2008-10-14)


新刊文芸ではありませんが、勝間和代氏が推薦していたPバーンスタイン氏の「リスク 神々への反逆」(日本経済新聞出版社)を読みました。古代から現代まで人類が投機に関していかに考えてきたかがよくわかる本です。読物としても面白かったですが、投資をしようとする人にもよい参考となるでしょう。重要なのはリスクというのは管理可能だという考え方だと思います。(2008-9-29)


太田忠司氏の「予告探偵 木塚家の謎」(中央公論新社)を読みました。謎が発生することを予告し謎を解く予告探偵摩神尊の連作短編集です。しかしワトソン役が同じ苗字の木塚氏ながら時を越えて探偵をしている摩神尊。その謎は最終作において明かされますが。思わずぶっ飛びました。ぶっ飛びついでに第1作の「予告探偵 西郷家の謎」(中央公論新社)をAMAZONで買って読みまたラストぶっ飛びました。バカミスもここまでくれば感動であります。

勝間和代氏の「効率が10倍アップする新・知的生産−自分をグーグル化する方法−」(ダイヤモンド社)を読みました。もう新刊という程ではないんですが、「お金は銀行に預けるな」(光文社)が良かったので。結果かなり啓発されました。とても自分にはできないという内容もありましたが(特に生活習慣)。開業に向けてできるところからやって行きたいと思ってます。それにしても大前研一氏といい彼女といいマッキンゼーという会社はやはり凄いですね。私が入れなかった訳です。

話だけはずっと以前より聞いていたのですが、宮崎康平氏の「まぼろしの邪馬台国」(講談社)が文庫に入ったので読んでみました。私は邪馬台国宇佐派なので、その結論には異論もあるのですが、目の見えない体で夫婦二人三脚でフィールドワークを続けこれだけの研究を成し遂げた姿には心動かされます。まさに情熱の書というべきものです。邪馬台国に興味がない人でも一度読んでみるべき本だと思います。

森博嗣氏のGシリーズ最新刊「目薬αで殺菌します」(講談社)が出たので早速読みました。Xシリーズが続いていたので、もう終わりかなと思っていたらうれしい誤算でした。本作は、私の頭が悪くなったのか、逐条的に読んでいて面白いのですが、今一俯瞰しずらかったです。というと語弊があるのですが、謎が謎を呼び最終頁にたどりついても謎が残っている感じです。シリーズのこれまでの事件が繫がってゆき真賀田四季に収斂していくと思うのですが、時定数の問題なのか収斂の様子が把握しきれず、次作が絶対読みたくなります。(2008-9-8)


二階堂黎人氏の水乃サトルシリーズ最新作「鬼蟻村マジック」をゲット。山奥の旧家の当主の座をめぐる複雑な人間関係と連続殺人事件とくると横溝正史っぽいですが、、そこは水乃サトルシリーズのことユーモアのある筆致で進んで行きます。戦前の殺人鬼消失事件(これはトリック読めました)、現在の連続殺人事件と意外な犯人はちょっと弱いですが、二段落ちにはちょっと引っ掛けられました。

笠井潔氏の「青銅の悲劇」をゲット。大部を一気に読みました。あの矢吹駆シリーズの日本篇と言われたらもう読むしかありません。なんと探偵役はあのナディア・モガール、ワトソン役に作者自身を思わせる作家宗像冬樹とくるとうれしくなってしまいます。分厚さに負けない論理の重厚さに少々あっぷあっぷしつつも堪能しました。

大石英司氏の「北方領土奪還作戦5」が入荷したので早速一気読みです。ロシア軍の反撃作戦パグラチオン21にも燃えましたが、今回は地対艦ミサイル連隊と60式自走無反動砲の活躍がナイスでした。一方で核の被害が国民に知られ、そろそろ終戦を考えるべき頃どのように収めるのか作者の手腕に期待です。(2008-8-28)


京極夏彦氏の「幽談」(メディアファクトリー)をゲット。少しモダンな怪談短編集です。季節柄このような本が読みたくなってしまう訳で、期待は裏切られず中々に怖かったです。それも何というか五感を全て要求されるような怖さでした。中では最後の1本「こわいもの」が京極氏らしくって良かったです。

法月綸太郎氏のノンシリーズ短編集「しらみつぶしの時計」(祥伝社)を読みました。都築道夫氏へのオマージュに溢れた作品が多く氏のファンとしてもうれしい一冊です。中では表題作の「しらみつぶしの時計」が純粋ロジックの作品ですが雰囲気が良く楽しめました。都築道夫氏の「やぶにらみの時計」に引っ掛けた題名かと思ったらやっぱりそうでうれしくなりました。

眉村卓氏の「消滅の光輪」(東京創元社)が文庫で出たので再読しました。この作品がSFマグジンに載っていたのは私が中学生の頃で、当時は中途から読んだこともあり、今一入りきれなかったのですが、今回再読してその凄さに感動しました。超新星化に伴い全住民を植民世界から脱出させなくてはならない司政官がプロジェクトを推進させていく様を縦軸に、2種類の文明のあり方の中で人類とは違った道を選んだ先住民との関わり合いを横軸とした壮大な作品です。入手が難しい司政官シリーズの他の長編も是非続けて出版して欲しいものです。(2008-7-29)


試験を終え、溜まっていた本を一気に読みました。快感であります。

大石英司氏の「北方領土奪還作戦4」(中央公論新社)が出ました。いよいよ物語も佳境に入りロシア特殊部隊は小型戦術核でエトロフ島の自衛隊を攻撃、サイレントコアは特殊部隊対策に追われます。サイレントコアはアルファ部隊に勝てるのか?更にロシアは戦爆連合による反攻作戦を準備します。日本側がかなりおされたところで終わり来月発売の5巻が待ち遠しいところであります。

森博嗣氏の「スカイ・イクリプス」(中央公論新社)は完結したスカイ・クロラシリーズのサイドストーリィの短編集です。本編同様無駄な物を削ぎ落としたような文体が美しいです、元エンジニアとしては、整備員のササクラを主役に据えた第1話Gyroscopeが特に気に入りました。

麻生幾氏の「特命」(幻冬舎)は氏一流の警察エスピオナージ小説ですが、何と洞爺湖サミットの3日前からメインストーリィが始まりサミット当日にクライマックを迎える同時進行小説。サミットのニュースを見ながらハラハラ読みました。最後の逆転劇には脱帽です。

ジョン・スコルジーのコロニー連合もの第2作「遠すぎた星 老人と宇宙2」(早川書房)を読みました。クローンを急速成長させた兵士で構成された特殊部隊の描写が秀逸。彼らが宇宙戦争に関わる資料として実在のSF作品を鑑賞するくだりにはにやっとしてしまいました。戦闘シーンの迫力も満点。三部作の第3作が楽しみです。(2008-7-16)


志水辰夫氏の「うしろ姿」(文藝春秋)が文庫化されたので再読しました。様々な人生の黄昏を描いた、読んでしみじみとする佳品の短編集です。志水節はあまり入ってませんが、この種の作品も私は結構好きです。中では姉弟愛を描いた「ひょーぅ!」が良いです。あとがきによると著者最後の現代小説作品集ということで残念であります。

北上次郎氏の「冒険小説論」(双葉社)が文庫化されたので再読、感じ入りました。欧米と日本の冒険小説をその期限を19世紀に遡って詳述する大著です。氏の小説への愛が伝わってきます。私は丁度80年代日本で冒険小説が勃興してきた頃にこの分野の本を読み始めたので、またまだ読むべき本は一杯あるなという感じです。(2008-6-23)


森博嗣氏の新刊連作短編集「銀河不動産の超越」(文藝春秋)が出たので早速読みました。氏の小説には所謂キャラが立った登場人物が多く登場しますが、実際にそういう人物に会ったら少々疲れそうです。そんなキャラが話が進むごとに次々と登場し、帯に書かれるところの”省エネ青年”が引きずり回される話かと思っていたら、最後の1篇でストーリーは急転直下しビューティフルに収まります。さすがの名人芸と思ってしまうところです。

恩田陸氏のエッセイ集「小説以外」(新潮社)が文庫化されたので再読しました。氏とは同年齢で同じ東北出身ということで親近感を持って読んでいましたが、この本を読んで更に親近感がわきました。エッセイから溢れて来るのは読書への愛だと思います。自分も多少傾向は違いますがジャンルクロスオーバーな読書好きなのでうなづいてしまう所が多々あります。違うのはビール党でないところでしょうか。

ネルソン・デミルの「ワイルドファイア」(講談社)を読みました。9・11から1年後のアメリカ。国内でスーツケース核爆弾のよるテロを起こして、それを引鉄にイスラム圏への全面核攻撃をもくろむ右翼政財界人の陰謀に、連邦統合テロリスト対策特別機動隊のジョン・コーリーが妻で同僚のケイトと共に阻止せんと大活躍、と書くとありがちなテクノスリラーですが、登場人物の造形が良く、主人公コーリーのワイズクラックとケイトのフォローには引き込まれてしまいます。さすがページターナー、といった感じです。(2008-6-11)


佐々木譲氏の「夜にその名を呼べば」(早川書房)が新装版文庫で出たので入手。一気に読みました。16年前の作品が出るのはやはり「警官の血」のこのミス1位、日本冒険小説協会大賞受賞のせいでしょうか。本作は警官ものとはいささかテイストが異なりますが、氏一流のロマンティシズム濃厚なサスペンスで引き込まれます。後半の舞台となる小樽の描写が秀逸です。

古川日出男氏の「ベルカ、吠えないのか?」(文藝春秋)が文庫化されたのでゲット、一気に読みました。圧倒されました。第2次世界大戦から現在までの戦争の歴史の中で増殖、拡散してゆくイヌたちの一大叙事詩。作者の想像力に打ちのめされた感じで読み終えました。直木賞取れなかったのが不思議です。

最近結構警察小説にはまっています。その流れで佐々木譲氏の道警シリーズ「笑う警官」、「警察庁から来た男」(角川春樹事務所)を、後者が文庫化された機会にまとめて読みました。前者ではタイムリミットのある事件を志ある警官グループが得意技を持寄って解決するサスペンスあふれる作品、後者は警察庁のキャリア監察官の調査と前者でも主人公だった佐伯警部補の捜査とが徐々に近づきラストで共通の犯罪グループの摘発につながる構成の妙が良いです。どちらも大部ではないのですが重量感を感じる力作です。これは「警官の血」も読みたくなります。

陳舜臣氏の「曹操残夢 魏の曹一族」(中央公論新社)が文庫化されたので入手しました。自分は三国志の中では曹操が一番好きなので、前作「曹操」に続いて魏に視点を置いた小説として楽しく読みました。日本では諸葛孔明と蜀漢に人気が寄り過ぎではないかと思います。魏の短い歴史が曹ひ、曹植兄弟を中心に描かれているこの作品は日本では貴重な小説であると思います。(2008-5-26)


大石英司氏の「北方領土奪還作戦3」が出たので早速一気読みしました。今回はロシア軍反撃の巻といった感じで、特にTu-160ブラックジャックによる少数縦深攻撃による千歳攻撃の段はかなりの迫力であります。また特殊部隊アルファも上陸に成功し、サイレントコアとの一戦がどうなるのか、次巻が楽しみです。

森博嗣氏の「工学部・水柿助教授の解脱」(幻冬舎)を読みました。シリーズ完結編です。氏は私小説でもエッセイでもないと言ってますが、それでも主人公水柿助教授と作者の共通点が多く、どこまでが事実?とか思って読んでしまいます。が、最後で一気にひっくり返されました。面白いです。(2008-5-12)


佐藤正午氏のエッセイ集「象を洗う」(光文社)が文庫化されたので再読しました。それほど特別のことはない身辺の出来事を書いている中に寡作な小説家の日常が浮かび上がってきます。著者は私より9歳年上で独身男としても先輩。微妙に親近感を覚えてしまいます。

最新刊ではありませんが、茂木健一郎氏の「脳と仮想」を読みいささか感銘を受けました。若い頃に小林秀雄の著作に接した時のような感じでした。小林秀雄の言説があちこちに取り上げられているせいもあるかもしれませんが。仮想というコンセプトについて、ヴァーチャルリアリティが現実の物となっている現在、人が真摯に向き合うべき問題であると感じました。

東野圭吾氏の「黒笑小説」(集英社)が文庫化されたので早速入手、再読しました。このシリーズはどれもブラックな笑いを誘われるものですが、今回は特に文壇事情を扱った作品が面白かったです。氏は今でこそ流行作家ですが、長いキャリアの中であまり正当に評価されなかった時期もあり、、その当時の恨みつらみが昇華されこれらの作品になった感じもしますがどうでしょうか。

芦辺拓氏の「裁判員法廷」(文藝春秋)を読みました。おなじみ探偵森江春策弁護士登場ですが、いささか趣きが変わって法廷物です。しかも話題の裁判員制度をメインモチーフに据えた連作中編集です。各々にひねりが効いており楽しめました。裁判員制度に色々と疑義があるの分かりますが、私個人としては司法の民主化の観点から原則としては賛成です。(2008-4-23)


塩野七生氏の「ルネサンスとは何であったのか」(新潮社)を読みました。対話形式で書かれているのはあまり得意ではないのですが、読み始めると一気に読んでしまいました。ルネサンスという時代をそこに生きた人々に注目しつつ描くとともに、高い視点で鳥瞰したルネサンスの通史にもなっています。「最良の入門書」という帯の惹句の通りです。

幸田真音氏の「タックス・シェルター」(新潮社)が文庫化されたのでゲット、読了しました。毎作様々な経済事象をテーマとする氏ですが、今作は税です。あまり税金を納めていない私ですが、会社勤めの頃は何でこんなに引かれるのかと思ったものでした。本作ではグローバル時代の租税回避策や商品先物取引によるその運用の様子がビビッドに描かれており、興味深いものですが、同時に誠実に過ぎた男の迷い込んだ迷路がメインモチーフになっており悲劇的なラストが胸にしみいります。(2008-4-3)


我孫子竹丸氏の「弥勒の掌」(文藝春秋)が文庫化されたので、空前絶後の驚きを保証との惹句に惹かれ一気に読みました。想像してた程の驚愕ではありませんでしたが、ラストのどんでん返しにはやはり舌を巻いてしまいます。武丸氏見事です。私的にはゲームしないので、ゲームソフトに関わるより、もっとこんな小説を出して欲しいと思ってしまいます。

高田崇史氏の「QED 鬼の城伝説」(講談社)が文庫化されたので再読しました。今回は岡山の桃太郎と鬼の城伝説がテーマ。基本的に歴史ミステリは大好きなのでこのシリーズもオキニです。今作は現在の殺人事件の部分が少し弱い感じがしますが、その分桃太郎伝説への論考が読ませます。次は何を描くのかが楽しみなシリーズです。(2008-3-21)


大石英司氏の「北方領土奪還作戦 2」(中央公論新社)が予定通り出ました。いよいよおなじみのサイレントコアも登場し盛り上がる展開であります。特殊部隊の近接戦闘からイージスの対飽和攻撃迎撃戦まで迫力ある描写で楽しませてくれます。今後の展開が楽しみですが残念ながら3巻目は来月には出ないようです。しばし期待して待つこととしましょう。

綾辻行人氏の「深泥丘奇談」(メディアファクトリー)を読みました。「この世には不思議なことがあるものなのです」という挑戦的なコピーにしびれます。本格推理作家である氏の描く怪談短編連作、なかなか雰囲気がでておりました。少しラヴクラフトを思わせる印象があります。と言ったら言い過ぎでしょうか。

ちょっと気恥ずかしいのですが、白倉由美氏の「やっぱりおおきくなりません」(徳間書店)を読みました。氏が漫画家だったころからのファンなのです。氏の作品は何となくキラキラした砂糖菓子を食べてるような気分にさせてくれます。氏の分身のような主人公が出てくるこの作品は氏には珍しくハッピーエンドでこちらまでハッピーな気分にさせてくれます。(2008-3-3)


、今野敏氏の「隠蔽捜査」(新潮社)が文庫化されたので入手、早速読みました。主人公はキャリア警察官僚。「東大以外は大学ではない」と思っている嫌な奴に最初は思えますが、読み進むにつれ印象が変わって来ます。それは表裏なく正論を吐き、キャリアであることに対しノーブレスオブリージを持っているからでしょう。警察組織の中にこんな人物がいてくれれば良いと最後には思わせてくれます。

ちょっと評判になっていたので、國貞克則氏の「財務3表一体理解法」(朝日新聞社)を読みました。事業やってるわけではありませんが、財務諸表については少しずつですが勉強していました。しかしどーも今一つわからないと思っていたところが、この本で相当に腑に落ちた気がします。非常に具体的でわかりやすいのに拡張性もある良い入門書だと思います。著者は同門の先輩でした。やはり理系の本とも言えるかもしれません。(2008-2-18)


法月綸太郎氏犯罪ホロスコープT六人の女王の問題」(光文社)が出たので早速読みました。タイトル通り黄道12宮の星座に関連した事件を扱った連作短編集です。作者も言っているように、あまり重くならず読める感じで肩がこらず読めました。自分的には双子座の「ゼウスの息子たち」が好みかと思ったら、これが第1作でパイロット版でした。寡作の氏ですが早く第2集を出してもらいたいものです。

大石英司氏の「北方領土奪還作戦 1」(中央公論新社)をゲット。相変わらずわくわくするストーリイであります。私は北方領土問題については穏健派のつもりですが、もしこんな作戦が実行されたら支持してしまうかもしれません。1巻目ということでいつものサイレントコアの面々まだ顔を出していませんが、いずれ登場らしいので楽しみにしています。まずは来月発売の第2巻が待たれるところです。

オナー・ハリントンシリーズのデイビッド・ウェーバーの「反逆者の月2−帝国の遺産−」(早川書房)を読みました。前作が続きを期待させる終わり方だったので、どうなるかと思いましたが、期待を裏切らないハラハラドキドキものの大宇宙戦争が展開されました。何といっても300万隻を超える異星人の大宇宙艦隊に寡兵で挑み見事撃退するというストーリィは大いに燃えます。何か「超時空要塞マクロス」を思い出してしまいました。脇役のキャラクターも中々魅力的です。

北村鴻氏の「蓮丈那智フィールドファイルV 写楽・考」(新潮社)が文庫化されたので再読しました。民俗学的な謎と現実の犯罪の謎とを重ねて斬る手際には圧倒されるばかりです。それなのにあまり重くならないのはワトソン役の助手内藤三國のユーモアある語り口のためでしょう。このシリーズTV化されており、蓮丈那智役は木村多江さんが非常に魅力的に演じていました。続編を希望したいところですが中々難しいかもしれません。(2008-1-31)


森博嗣氏の「もえない」(角川書店)をゲット。一気に読みました。主人公はごく普通の高校生。というのが森ミステリとしては珍しい設定。ただ自分のクロックが世界と一致していないとう夢をよく見るというのが少し毛色の変わった所。でもその感覚わからないでもないです。その彼が親しくも無い友人の死をきっかけに不可解な事件に巻き込まれていくというもの。過去の記憶の一部に曖昧な部分がありそれが事件の真相に関わっているというところは綾辻行人氏の作品を思わせるものがありますが、それが解明されるクライマックスの文体のスリリングさは氏一流のもの。ラストの1行がきまっています。

またまた森博嗣氏ですが、Xシリーズ最新刊「タカイXタカイ」(講談社)が出たのでまたまた一気に読みました。西之園萌絵先生がいよいよ中心になって謎解きしてくれます。謎は地上15mのポールの上に掲げられた刺殺死体というもの。トリック自体は機械的なもので先読みできるものですが、これはハウダニットよりフーダニットでしょう。そして微妙な謎を残した読後感が何か心地よいです。小川&真鍋のコンビもなかなかキャラが立って来ました。

真保裕一氏の「灰色の北壁」(講談社)が文庫化されたので再読しました。「ホワイトアウト」での雪山の描写には圧倒されましたが、本書もそれに負けず劣らずの凄絶な、それでも人を惹きつける山の魅力あふれる作品群です。自分的には遭難者を救出に向かう男に過去と現在が交錯する「黒部の羆」が好みの1編ですね。(2008-1-20)


手嶋龍一氏の「ウルトラ・ダラーそして」(新潮社)が文庫化されたので早速読みました。氏のノンフィクションには感服していたものですが、ノンフィクションの形で発表された本作も、その取材力が生かされた快作となっています。北朝鮮の偽ドル札を中心に各国のインテリジェンス活動が細部まで活写され最後゙まで頁を繰る指が止まりません

二階堂黎人氏の二階堂蘭子シリーズ最新作「双面獣事件」(講談社)をゲット。うれしいぶ厚さですが迫力に一気に読みました。謎解きよりは跳梁する怪物双面獣の凶悪さに圧倒されます。それでも最後の迷宮計画の謎はあっと思わされました。

志水辰夫氏の「約束の地」(双葉社)が文庫化されたので再読。著者久しぶりの冒険小説ですが、相変わらずの志水節にうれしくなってしまいます。ストーリーは幼い頃にただ一人の肉親の祖父を殺害され、右翼の大物に庇護されて育った少年の50年にわたる生涯と復讐を描いた大河小説。最近は時代小説にも挑戦されていますが、このような冒険小説もまだまだ書いていただきたいです。

田中芳樹氏の薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ最新作「水妖日にご用心」(祥伝社)を読みました。資源豊かな南アジアの小王国の王子がが日本を訪問、しかし前王の隠し子である爬虫類人間の美女がその暗殺を謀り、お涼が例によって周囲を巻き込みそれを阻止すると書いてしまうと何だかですが、構成、ストーリーテリングとも一流でジェットコーターのように一気に読まされてしまいます。私のご贔屓の室町由紀子警視正の活躍があまりなくちと残念。(2007-12-16)


喜国雅彦氏の「古本探偵の回想」(双葉社)が文庫化されたのでゲット。一気に読みました。いや感動。本好きとしてはかくありたいものです。氏の漫画も面白いですが、エッセイもなかなか。氏より少しだけ年下ですが殆ど同世代といって良いので「自分に関する覚書」など読むと読書体験やら自分との共通点が結構あって笑ってしまいました。

ディビッド・ウェーバーの紅の勇者オナー・ハリントンシリーズ第8巻「女提督の凱旋」(早川書房)を読みました。前巻で民共の捕虜になり脱走するものの敵監獄惑星に流れ着き絶対絶命の危地にあったハリントン。しかし機略を巡らせ信頼する部下とともに見事監獄惑星を解放し民共の艦隊を乗っ取り故国に帰還を果たすまでが本巻。そのプロセスは大いに読み甲斐があります。乗っ取った艦隊で討伐艦隊を叩きのめす艦隊戦の描写は相変わらずの筆者独壇場です。

戸板康二氏の「中村雅楽探偵全集5 松風の記憶」をゲット、一気に読みました。中村雅楽シリーズの長編2本立てで、トリックなどはやはり古典的で犯人も見当がつきましたが、叙述が何とも粋で雰囲気があります。また「第三の演出者」のワトスン役竹野の手記のみから犯人を見破るアームチェアデティクティブの趣向は好きなので楽しめました。(2007-12-1)


大石英司氏のハードカバー「女神のための円舞曲」(中央公論新社)をゲット。早速読みました。氏のこの系統の作品(冒険小説でないもの)ではベストではないかと思います。氏はたぶん学生時代にブラバンの経験があるのだと推測していましたが、音楽への愛を感じます。様々な人々の運命が、ラストのコンサートに向け御都合主義でなくパズルのピースがまとまっていくようにつながって行く描写を読むのは快感にも似たものがあります。

梅田望夫氏の「ウェブ時代をゆく」(筑摩書房)を読みました。40代にして挫折した身には氏のオプティミズムは少々眩しいです。しかしこの混沌とした時代を生きるための様々なヒントが得られる本です。志とウェブリテレシーを持って「もうひとつの地球」で生き抜いてゆく、そういう存在でありたいと思います。スモールビジネスとベンチャーの違いについての記述も参考になりました。

森博嗣氏の「探偵伯爵と僕」がノベルズに入ったので早速ゲットして再読しました。子供向けのレーベルで出た作品ですが、大人でも十分鑑賞に耐えると思います。専ら図書館で借りて読みましたが、このミステリーランドレーベルは本作を含め新本格の佳作が多く、子供のうちにこんな面白いものを読める今の少年少女がうらやましいです。(2007-11-13)


島田荘司氏の「リベルタスの寓話」(講談社)をゲット。御手洗物の中篇2本を一気に読みました。最新(でもないですが)の科学に結びついた謎が解かれる様が相変わらず良いです。2本に共通のバックグラウンドとして旧ユーゴの内戦があります。日本では旧聞になったことでも当事者たちにとっては未だ切実な訳で、社会的なテーマとして取り入れた氏に敬意を表します。

大前研一氏の「戦略論−戦略コンセプトの原点」(ダイヤモンド社)を読みました。氏の1982年から1995年にかけて寄稿した論文の翻訳であり、これまでの著書の原点になったものです。そこに現れるボーダレスワールド論や地域国家論は未だに輝きを失ってはいないと思います。日本の現状への批評も、現在変わりつつあるもののまだまだ的を得ていると言わざるを得ません。

光原百合氏の「最後の願い」(光文社)を読みました。小劇団の立上げを目指して奔走する青年たちがその過程で出会った謎を解き明かして行く連作ミステリ短編集ですが、結構読み応えがありました。氏の作品は、本作に限らず読後ほんのりと心が温かくなるような良い読後感を与えてくれます。(2007-10-23)


藤村安芸子氏の「再発見 日本の哲学 石原莞爾−愛と最終戦争」(講談社)を読みました。石原フリークとしては、若い正統な人文系の研究者が石原莞爾を題材として取り上げてどのようにさばくか興味ありましたが、存外好意的に評されているようです。「歩く」ということが石原の思想の中で重要な意義を持っているとの指摘には、ちょっと意外でしたけど頷かされるものがありました。

堀晃氏の「遺跡の声」(東京創元社)を読みました。氏の宇宙遺跡調査員シリーズの現時点での全作品を網羅するもので、少年時代に読んだ作品も含まれていますが懐かしく再読できました。表題作でフェルマーの定理を知ったことなどが思い起こされます。未読の方にも優れた宇宙ハードSF短編集としてお勧めの1冊です。

福井晴敏氏の「機動戦士ガンダムUC 1,2」(角川書店)をゲット。ファーストガンダム世代としては、福井氏がオリジナルのガンダムストーリーをシリーズと共通の世界を舞台に描くとなっては読まずにはいられますまい。戦闘シーンはやはり福井氏の独壇場で燃えさせてくれます。世界を覆す「ラプラスの箱」の謎や謎の美少女(たぶん***・**の成長した姿では?)の正体など続刊が待たれます。(2007-10-9)


森博嗣氏の「Zola・一撃・さようなら」をゲット。一気に読みました。新感覚ハードボイルドとの帯ですが主人公は少しく半熟な感じがしました。暗殺者Zolaの正体の二段構えは一段目しか読めませんでしたが、なるほどの落ち。流麗な文体でいつものごとく読まされてしまいます。

霧舎巧氏の「新本格もどき」(光文社)を読みました。新本格の諸作家の作品をモチーフにした事件に、夫々の作品の探偵役になりきってしまう記憶喪失患者が推理、しかし真実を解き明かすのは主人公の看護師という趣向の短編集。こういう企画は好きです。全作を通した謎もありなかなかの読後感でした。

志水辰夫氏の「ラストドリーム」(新潮社)が文庫化されたので再読。人生の終着駅を見た男の哀感が全編に漂っています。自分はまだそこまでの境地はなかなかわかりませんが、それでもぐっと来るものがあります。そしてラストへ向かう文章の畳み掛けるような志水節。泣けます。良いもの読ませてもらいました。

田中哲也氏の大久保町三部作の完結編「さらば愛しき大久保町」(早川書房)を読みました。ライトノベルレーベルからの再録でありましが、とにかく笑えて後味が良いです。色々あって悩んでいるときに読んだら気分がすっきりしました。アクションシーンでこれだけ笑えるというのは凄いと思います。

森博嗣氏のXシリーズ最新刊「キラレXキラレ」を早速ゲット。読了しました。今作はミッシングリンク物。といってもリンク自体は早々に提示されてしまいますが。一種のサイコキラーな犯人の描写が見事です。そしてとうとう、と言うかやっぱりというか西之園先生が登場してしまいました。森ファンにはうれしいリンクです。(2007-9-10)


真保裕一氏の「真夜中の神話」(文藝春秋)が文庫化されたので早速ゲット。吸血鬼伝説が語られる謎の村とそこで飛行機事故から助かった主人公。その村に関係したと思しき人物への連続猟奇殺人事件。謎の村を追う旅へ出る主人公達と不可解な同行者。伝奇小説のステロタイプのようなプロットですが、最新の科学知識による分析やはみ出し警官による事件追跡のサブプロットなどが重なり退屈させません。私は主人公の友人で最後に哀しい俗物性を発揮する桐生についドロップアウトした人間の悲哀を感じ同情してしまいました。

麻生幾氏の「エスピオナージ」(幻冬舎)を読みました。外事警察のスパイハンターとロシア対外情報局の工作員の虚虚実実の駆け引きに最後までページを繰る手が止まりませんでした。例によって警察内部のディティールの書き込みがリアルさを増しています。謎の工作員は残念ながら明かされるまで分かりませんでした。氏のこれまでの長編に比べると短いですが新境地を開いたと思います。(2007-8-22)


森博嗣氏のZシリーズ続刊「ZOKUDAM」(光文社)G出たので早速ゲット。一気に読みました。他のシリーズとは違って素直に笑える作品です。何というか心地よい脱力感。ロボットアニメ物のパロディですが、実際に巨大ロボット作るとしたらこんな情けないああだこうだあるんだろうなと思わせる部分もあります。最後も盛り上げておいてすとんと落とすところがたまりません。

福岡伸一氏の「生物と無生物のあいだ」(講談社)を読みました。分子生物学という分野については全く門外漢でありますが、非常に達意かつ詩的な文章に支えられわくわくしながら読み進みました。生命とは何かという誰もが一度は考えたことがあるかもしれない問題について、最新の知見である「生命とは動的平衡にある流れである」という定義に至る生命観の変遷とそれを支える様々な実験に関する記述は良質のミステリを読むようです。

坂村健氏の「ユピキタスとは何か」(岩波書店)を読みました。坂村氏といえばすぐTRONが浮かびますが、TRONとユピキタスコンピューテイングとは親和性のいい関係なのですね。ユピキタスについては一般的な知見しかなく、本当にできるのだろうかと思っていましたが、技術的にはかなりのところまで来ていることがわかります。問題はソーシャルイノベーションとして進んでいけるかということであり、本書ではその点についてもかなり突っ込んだ議論をしており、坂村氏の熱意が伝わってきます。

ジョン・ダニングの古書店主クリフシリーズ最新刊「災いの古書」が出たのでゲット。今作はサイン本がメインモティーフで例のごとくそこかしこに散りばめられたサイン本の薀蓄がうれしいです。ストーリーはサスペンスフルで最後まで予断を許しません。法廷物として読むには法廷場面は少ないですがアメリカの司法制度の一端を窺えるのもうれしいです。(2007-7-29)


森博嗣氏の「クレィドゥ・ザ・スカイ」(中央公論新社)を読みました。シリーズ完結編です。とは言え物語世界はまだまだ続きそうな雰囲気もあり一段落つけたという終わり方でしょうか。氏はこのシリーズも文章が研ぎ澄まされている感じで、特に空戦シーンの畳み掛けるような短文の流れはリズム良く殆ど韻文な感じであります。来年押井守監督でアニメ映画化さえっるそうで、そちらの方も楽しみです。

戸板康二氏の「中村雅楽探偵全集3 目黒の狂女」を読みました。梨園を舞台にした日常の謎的な短編が集められており、不調法で歌舞伎などには疎い私ですが興味深く読めました。文章がなんとなく安心できます。中では歴史ミステリになっている「淀君の謎」が印象深かったです。

佐藤正午氏の「side B」が文庫化されたのでゲット。しみじみと読みました。私は競輪には全然興味がないのですけれど、このエッセイ集には競輪に深く付き合っている人々の心情が活写されており、競輪を知らなくても面白く読めるものになっていると思います。

京極夏彦氏の「旧怪談」(メディアファクトリー)を読みました。江戸時代の「耳嚢」に書かれた怪奇譚を氏が現代文で書き改めるという試みでありますが、見事京極夏彦の語り物になっており感心させられます。これからの季節に涼をとるのにちょうど良い怪奇短編集です。各話のタイトルもなかなかクールです。

西原理恵子氏の「いけちゃんとぼく」(角川書店)を読みました。TVや書評で泣けると言われていましたが、案の定はまってうるうるしてしまいました。西原氏は時々こういうすごく切なくなる話を描くので油断できません。ずるいなあ。

池上司氏の「ミッドウェイの刺客」を読みました。ミッドウェイ海戦の敗北の中帝国海軍の潜水艦が米空母ヨークタウンを撃沈した史実に基づく戦記小説なのですが、作者は相変わらず巧いです。ミッドウェイ島砲撃後米哨戒艇の追撃を逃れるくだりや、7隻の駆逐艦に護衛された空母ヨークタウンを雷撃するくだりはまさに手に汗を握る感じです。その他にもディテールまで描き込まれた潜水艦の航海の描写には引き込まれてしまうものがあります。(2007-7-14)


西垣通氏の「ウェブ社会をどう生きるか」(岩波書店)を読みました。私はウェブ社会の進展に結構肯定的なのですが、必ずしもそうではないという視点があることがわかります。ウェブ情報検索機能により集合知が得られるというのは楽観的過ぎるというのは肯かざるを得ないと思います。地方在住者としては真のIT革命には東京への一極集中から超多極分散社会への脱皮が必要との意見には諸手を挙げて賛成です。

大石英司氏の新作「サハリン争奪戦」をゲット。サハリンの資源採掘現場を舞台に、あの音無サイレントコア隊長が久々に現場で大活躍します。相手は「カイバル峠の守護神」と呼ばれる伝説のコマンド。丁々発止の戦いが理屈抜きに楽しめます。

大森望氏と豊崎由美氏の「文学賞メッタ斬り!受賞作はありません編」(PARCO出版)を読みました。このシリーズ(?)も3冊目になりましたが、書評のパワーは上がるばかり。専らエンタ系の私ですが、豊崎氏の書評読んでると純文も読んでみたくなります。津本先生さようならの章はかなり笑えました。

新刊ではないのですが、木田元氏の「新人生論ノート」(集英社)が平積みになっていたので入手。氏は同県人で専攻は全然違いますが大学の先輩で少し興味のある哲学分野の研究者ということでフォローしていました。三木清の「人生論ノート」にはまっていた時期もあったので比べつつ読みましたがなかなか味のある文章であります。読書についてや遊びについて時間についてなどが特に身にしみました。

吉田修一氏の「7月24日通り」(新潮社)を読みました。原作にした映画はあまりヒットしなかったのですが割りと好きでした。しかし原作の方が面白かったです。聡史のように格好良くなかったですが地方都市で育ち、東京に出て挫折して戻って来た身としてわかるなあという気がしました。小百合のキャラクターは映画より深く描かれていて最後の決断には拍手を送りたいです。でも一番気に入ったキャラクタは小百合が邂逅する名前もない画家の警備員の青年です。

進藤良彦+K・ドラマフィルカンパニーの「テレビドラマベスト・テン10年史1997-2007」(愛育社)を何というか読みました。視聴率的にはぱっとしなかったけれど結構好きだったドラマが存外評価されたりしていてうれしかったりしました。TVっ子なのでリストアップされたドラマを眺めているだけで様々な思い出が甦ってきます。ちょっと高いですが10年分の連続ドラマと単発ドラマのデータベースとなっておりお買い得感のある本です。

伊坂幸太郎氏の「アヒルと鴨のコインロッカー」(東京創元社)を今更ですが読みました。伊坂氏はすごいと聞きつつも手を出していなかったのですが、学生時代を過ごした仙台が舞台の作品で映画化されると聞きつい読んでしまいました。結果良かったです。現在と二年前がカットバックされていく構成で微妙な謎が最終的にストンと着陸するのに快感を覚えました。そしてそこはかとない青春の切なさも味あわせてくれる名品といって良いでしょう。(2007-6-13)


京極夏彦氏の「前巷説百物語」(角川書店)を読みました。相変わらず巧いです。又市のキャラクターにもしっかり青さが出ています。損料屋という設定も面白いです。時代小説はあまり得意ではないのですが、これは別格です。

森博嗣氏の新シリーズ「イナイXイナイ」を早速ゲット。一気に読みました。広大な屋敷と地下牢、美しい双子、地下牢に閉じ込められているという謎の人物などクラシカルなコード多用のミステリですが流石に森作品、一筋縄ではいきません。鋭いロジックと立ったキャラに引き込まれます。最後によくご存知の人物が登場するのもお楽しみです。

蘇部健一氏の「六とん3」を読みました。相変わらず馬鹿ですねー。でもこのアホバカミステリ結構好きです。真面目な人は怒って本を投げ捨てそうな作品揃いですが、なかでも「XXX殺人事件」は下品さに思わず笑ってしまいました。(2007-5-20)


Tハリスの「ハンニバル・ライジング」(新潮社)が出たので早速読みました。いきなりの宮本武蔵の水墨画にやや吃驚。あのハンニバル.レクター博士が如何にして怪物になったかを描く待望の一編で相変わらずスリリングな展開です。日本趣味のペダントリーが少々くどい感じもしますが、それが反キリスト的なレクター博士の要素となっているという効果なのでしょう。GWの映画が楽しみです。

幸田真音氏の「日銀券」(新潮社)が文庫化されたので再読しました。謎を秘めた美人日銀副総裁と彼女の関わる謎のゲーム。国際情勢とからめた日銀の政策決定プロセスを描き上質なミステリを読むように一気に読みました。氏の作品の底には基本的に市場の健全性への期待が流れていると思います。

鯨統一郎氏の「マグレと都市伝説」(小学館)を読みました。何と言うべきか。ミステリの味は薄いのですが、事件に全て’70から'80の歌謡曲しかも前作「「神田川」見立て殺人」よりパワーアップしてメドレーで見立てがなされ更に都市伝説がからむという構成の短編集です。これだけの縛りをかけて面白い話を作るのも一種の天才かもしれません。一読の価値はあるかも。

市川拓司氏の「そのときは彼によろしく」(小学館)が映画化を前に文庫に入ったのでゲット。氏の描く女性キャラは魅力的ですが、本作のボーイッシュな少女から秘密めいた美しい女性になって主人公と再会する花梨もまた魅力的に造形されています。そしてこの本で描かれているのは人と人とのつながりのつながりの力みたいなものではないか、とこの年になると思われる訳です。どのように映画化されるのかが楽しみです。

北村薫氏の「語り女たち」(新潮社)が文庫化されたのでゲットしました。短編というにも短い掌編集ですがその分様々な物語がまさに語られる感じで、読んで満足感がありました。直木賞とれなかったのが残念です。私のベストは「眠れる森」ですが、読む人によって意見は分かれることでしょう。それだけバリエーションに富んだ作品集です。

福井晴敏氏の「6ステイン」(講談社)が文庫化されたので即ゲット。DAISピンズセットで買ってしまいました。講談社商売うまいなあ。それはさておき福井氏は長編型の作家だと思いますけれど、短編もなかなか読ませます。長編にも通じる熱さと切れ味の良いどんでん返しがうまくマッチした作品集です。DAIS物の長編に中々入れないという人には「920を待ちながら」が丁度良いブリッジになってくれると思います。個人的には「断ち切る」のほのぼのとしたラストが好きです。(2007-4-15)


野尻抱介氏の「沈黙のフライバイ」(早川書房)を読みました。関連業界にいたことがあるため宇宙開発もののSFは好きなのです。あの「太陽の簒奪者」の原点となった表題作をはじめちょっと先の宇宙を描く秀逸な短編集で楽しく読めました。個人的には大凧でロケットのアシストをする「大風呂敷と蜘蛛の糸」が一番好きです。

中村雅楽探偵全集1として、入手困難だった戸板康二氏の「團十郎切腹事件」(東京創元社)が出たので早速ゲット。堪能しました。主に舞台の世界で登場する謎は魅力的で、何よりそれを見事に解決する老優中村雅楽の造形が良いです。まさに粋といった感じです。全集続刊の刊行が待たれます。

福井晴敏氏の「テアトル東向島アカデミー賞」(集英社)を読みました。著者も言っている通り映画評というよりそれに借りた日記という感じがありますが楽しく読めました。同世代だし結構好みにも似てるところを発見し少しうれしくなりました。

松岡圭祐氏の「千里眼 ミッドタウンタワーの迷宮」をゲット。例によって一気に読みました。期待を裏切らずハラハラドキドキさせられる場面の連続であきさせません。初めて知るアイシンギョロ賭博のシーンはギャンブル小説並みの迫力でありました。

ボブ・ウッドワードの「ブッシュのホワイトハウス」(日本経済新聞出版社)を読みました。政権内部の暗闘や、イラク戦争がいかに安直に決定されていったかなどが鋭く描かれ、怒りすら覚えます。しかしこのような本を発行するジャーナリズムがあり、それがベストセラーになるということが又アメリカの健全さであり強みでありましょう。(2007-3-27)


ジョン・スコルジーの「老人と宇宙」(早川書房)を読みました。21世紀版「宇宙の戦士」というキャッチッコピーがなる程と思わせる直球のミリタリイSFの傑作です。脳内コンピュータのブレインパルを始めとする宇宙の兵士の新造された身体の技術や星間航法のスキップ"駆動"等のSFガジェットが効果的に使われて雰囲気出していると思います。そしてラストはちょっと泣けます。

堀晃氏の「バビロニア・ウェーブ」(東京創元社)が文庫化されたので約20年ぶりに再読。やっぱり凄いです。直径1200万キロ、全長5380光年のレーザー光束定在波というモチーフに圧倒されます。そしてそれに関わる実験が次々と事故に終わる謎。ハードSFの醍醐味を感じさせてくれます。寡作な氏には長編は未だこの1作だけですが是非続編を書いていただきたいものです。

大石英司氏の新作「死に至る街」をゲット。早速読みました。細菌兵器として開発された狂犬病ウィルスに襲われた北海道の小さな街を舞台に繰り広げられるパニックものです。サイレントコアの新人隊員御堂走馬士長が大活躍。いつものメンバに加えシリーズ中の他作品に登場した草鹿二佐等も登場。すっかりキャラが立っております。音無隊長が出ないのが残念。(2007-2-28)


松岡圭祐氏の「千里眼 The Start」、「千里眼 ファントム・クォーター」、「千里眼の水晶体」(角川書店)とせ「千里眼」新シリーズが一挙3冊出たので早速ゲットしました。版元も変えて新シリーズということで、作者も述べていますがこれまでのシリーズにあった心理学関連の記述を否定するようなセリフに少し吃驚しました。しかしそれも最新の情報にアップデイトしようとする試みの一つでありましょう。少々主人公の岬美由紀が超人的すぎる感もありますが、ページターナーの手には瑕疵だと思います。「千里眼の水晶体」ではライバルとなるかもしれない女性キャラも登場し、次回作が早くも待たれます。

池上司氏の「無音潜航」(角川書店)が文庫化されたのでゲット。一気呵成に読みました。海自潜水艦と中国、北朝鮮の対潜部隊との丁々発止の戦いが引き込まれる面白さです。映画の「眼下の敵」を思い出しました。多国籍テロの部分はむしろつけたりといった莞爾で、それで良かったと思います。

西澤保彦氏の「笑う怪獣 ミステリ劇場」(新潮社)が文庫化されたので再読しました。超現実的な設定とロジカルなミステリの融合で知られる著者ですが、本書では思いきりシュールなシチュエーションで笑かせてくれます。喜国雅彦氏の表紙もぴったりフィットです。

佐々木丸美氏の「崖の館」(東京創元社)を読みました。本格ミステリ不遇の時代に、このような作品が出ていたこと寡聞にして知りませんでした。不覚。断崖にそびえる洋館に残る謎の死の記憶とそこに集まった従兄弟たちのペダンティックな会話と探偵合戦。不可思議な事件の連続と新たな殺人、そして意外な犯人。絶妙なストライクです。主人公の17歳の少女の微妙な心理の襞の描写も泣けます。3部作の続きの復刊が待たれます。(2007-2-16)


三崎亜記氏の「となり町戦争」(集英社)が文庫化されたのでゲットしました。平穏な日常の中に共存する奇妙なとなり町との「戦争」。町役場の業務として淡々と処理される「戦争」。その現実感の無さは、今現在行われている戦争に現実感を持ち得ない日本のパロディのようにも思えます。映画化されるということで、どう描かれるのか楽しみです。

二階堂黎人氏の「僕らが愛した手塚治虫」(小学館)を読みました。氏のミステリでない本を読むのは初めてです。氏が「手塚治虫ファンクラブ」の会長をしていたことは知っていましたが、少年時代からコレクターをしていたとは知りませんでした。私は手塚治氏の良い読者ではありませんが、その書き換え癖に悩まされながらコレクションを続ける姿はまさにコレクターそのもので頭が下がります。

佐々木譲氏の「天下城」(新潮社)を読みました。城の石詰みという技術者の目を通して見た戦国歴史小説ということで、新鮮かつ元技術者としては興味深く読み終えることができました。技術史というのはあまり一般的ではありませんが意外と面白いもので、戦国時代の城作りの変遷を背景にした主人公の戸波一郎太の成長の描写が見事です。一郎太は元兵法家の従者であるため単に石詰み技術だけでなく、城造りの総合的なデザインにも目を配れるという設定が良く出来ています。その一郎太が夢見て果たせなかった決して落城しない城とは何だったのか。私にはそれは技術者の見果てぬ夢のような気がします。

森博嗣氏のGシリーズ最新作「ηなのに夢のよう」が出たので早速ゲットし一気に読みました。連続高所首吊り事件という魅力的な謎に対して解決はいま一つ物足りない感がありましたが、本書の肝は西之園萌絵が死について考察し愛犬トーマの死を迎える部分にあるのではないかと思います。それとS&Mシリーズ、Vシリーズ、Gシリーズの探偵が勢ぞろいする楽しさも。そして全体を覆う天才真賀田四季の影。次回作では登場するのでしょうか?でも次回は短編集のようなので少し待つしかないようです。(2007-1-23)


梅田望夫氏と平野啓一郎氏の対談「ウェブ人間論」(新潮社)を読みました。「ウェブ進化論」の梅田氏とペダンチックな芥川賞作家平野氏の対談ということでミスマッチ感もありましたが、読んでみると意外なほど共鳴しているようで興味深かったです。平野氏も75年世代ということでかなりウェブ進化に興味があるようです。ネット世界で人間がいかに変化していくかというについては、私も御両者のように肯定的にとらえていきたいと思います。

塩野七生氏の「ローマ人の物語]X ローマ世界の終焉」が出たので早速ゲットし一気に読みました。このシリーズも15年かけてとうとう完結。感慨深いものがあります。教科書などではあっさり片付けられるローマ帝国の末期と帝国後のローマ世界の変化について書き込まれており堪能しました。”最後のローマ人”スティリコの最後に涙してしまいました。

佐々木俊尚氏の「ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するか」(文藝春秋)を読みました。半ばを占めるWinny関係の話題については、恥ずかしながらウィルスがつくと情報流出する危険なファイル交換ソフトくらいの認識しかなく、インターネットの理想型であるP2Pの実現を目差したものとは知らなかったです。その他ここ30年ほどのネットとリアルの鬩ぎ合いを平易に解説しており、我々はいかにすべきか考えさせられる本であります。

吉田武氏の「はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語」(幻冬舎)を読みました。以前勤めていた会社で宇宙開発関連のセクションに居た時は主にお付き合いしたのが旧NASDAさんだったので、ここに描かれた職人主義の宇宙研の風土との違いが興味深かったです。正直少々うらやましく思いました。はやぶさのミッションを主軸に宇宙研の歴史を点描した構成は読み応えがありました。(2006-12-29)


村田晃嗣氏の「プレイバック1980年代」(文藝春秋)を読みました。著者は自分と同年で高校、大学の多感な時期を送ったあの1980年代を活写、総括するということで非常に共感するところ多かったです。同世代の人にお勧めです。世代論をいうとなんですが、あの登りつめた1980年代に青春を送った私たちの世代が、あの時代への既視感を覚える現在を良き時代とするためもっと活躍していかなければならないのではないでしょうか。

田中芳樹氏のアルスラーン戦記新作「暗黒神殿」(光文社)が出たので早速ゲット。一気に読みました。相変わらず波乱万丈なストーリーと良く描き込まれたキャラクターの生き生きした造形に読みふけってしまいます。このシリーズもスタートして20年。完結に向かって更に加速度をつけ続刊が出ることを期待します。

志水辰夫氏の「男坂」(文藝春秋)が文庫に入ったので再読しました。どちらかと言えばうらぶれた人生の後半を歩く男たちの、人生の一断面を見事に切り取った渋い短編集です。寡黙な文体が男達の寂しさをかえって雄弁に語ってくれます。さすがの志水節。しかし長編も読みたいと思うのは贅沢でしょうか。

宇月原晴明氏の「天王船」(中央公論新社)を読みました。氏の長編「黎明に叛くもの」の外伝をまとめた短編集です。氏の本領は一種独特の視点と美学に彩られた圧倒的な伝奇歴史長編ではないかと思いますが、短編も独特な文体の香気を保ちつつシャープにまとめられ楽しんで読めました。信長と松永久秀の若き頃の邂逅を描いた表題作「天王船」が個人的にはお勧めです。

坂本康宏氏の「逆境戦隊[×] 2」(早川書房)を読みました。前巻での予想をはるかに超えたハードな展開に吃驚です。しかし面白くてちょっと泣けます。SFを読まない人に読んで欲しいです。(2006-12-13)


坂本康宏氏の「逆境戦隊バツ[X] 1」(早川書房)を読みました。戦隊物のパロディと見せてなかなか深いものを感じます。コンプレックスがヒーローに変身するエネルギーというのが凄いです。そしてオタクの主人公にこれとばかりに与えられるコンプレックスの種。作者の実体験が入っているのではと勘ぐる程リアルです。次巻に向け、左遷されたキャリア警察官関勝(水滸伝だ)が重要な役を果たすとみるのは読みすぎでしょうか。

陳舜臣氏の「孫文」(中央公論新社)を読了。孫文と中華民国革命というと今一印象が薄く三民主議くらいしか思い出せませんでしたが、かなり波乱万丈のドラマのある人生と革命だったということを認識しました。孫文は優れて国際人であったがゆえに最高の民族主義者となりえたのだと思います。日本人志士との交誼などを読むにつけ、翻って今の日本とアジアの関係に思いを致さずにはおれません。

波頭亮氏の「プロフェッショナル原論」(筑摩書房)を読みました。自分もプロフェッショナルな仕事に就こうと努力しているところですので非常に啓発される所がありました。プロフェッショナリズムと経済合理性が相容れないこと、いわゆるプロとプロフェッショナルの違いなど非常に興味深かったです。自分もプロフェッショナルコードに従って仕事を遂行できるプロフェッショナルを目指したいものです。(2006-11-24)


島田荘司氏の月刊島田荘司の10月分、「犬坊里美の冒険」を読みました。「龍臥亭事件」でほんの脇役だった犬坊里美が、大学進学上京を経てとうとう司法修習生になって一人で事件を解決するというのは中々感慨深いものがあります。近頃流行りのスピンオフでしょうか。御手洗氏は出てませんが石岡君が電話で登場してます。死体消失事件のメイントリックには見事な伏線が張られていて唸らされました。

久々の大石英司氏のサイレントコア物「虎07潜を救出せよ」をゲット、一気読みしました。舞台は東シナ海日本EEZ付近の中国ガス掘削プラットフォーム。韓国海軍の最新鋭潜水艦が沈没する一方プラットフォームは日本人テロリストによって占拠される。中国は特殊部隊を送り込むが作戦は失敗。一方同海域には台風が接近し潜水艦救助のタイムリミットも迫る。そしてあのサイレントコアも登場。とハラハラドキドキのクライシスアクションですが、それだけじゃなく日中韓の鬩ぎ合い等国際情勢の最新事情もしっかり書き込まれています。(2006-11-1)


樋口有介氏の「枯葉色グッドバイ」が文庫化されたので再読しました。氏の作品は佳作が多い割に世間にはあんまり認知されていないのが残念です。本作も元警視庁捜査1課刑事のホームレスと現職女性刑事のコンビのやりとりがうまく描かれており、謎解きも二転三転して思いもよらぬ結末にたどり着くという感じの読ませる本です。氏のこれまでのシリーズ物などに比べややヘヴィーな内容になっている分ハードボイルド感も増していると思います。

橘木俊詔氏の「格差社会」(岩波書店)を読みました。地方在住の貧困層の身としては格差が拡大し日本社会が二極化しつつあるという主張にはうなづかざるを得ません。本書ではこの格差社会への是正策も提案されていますが、私としては地方の活性化に興味を覚えました。道州制などとも関連してもっと議論されて良い問題ではないかと思います。

東野圭吾氏の「手紙」(文藝春秋)を読み、ちょっと感動しております。犯罪加害者の家族というあまり取り上げられることのなかった存在の厳しさと差別という問題について正面から向き合った力作だと思います。ついつい主人公に感情移入しがちな読者に主人公の勤務先の社長の語るせりふが重くのしかかってきます。直木賞がとれなかったことが残念な名作です。(2006-10-17)


森博嗣氏の「モリログ・アカデミィ 3」(メディアファクトリー)をゲット。氏の日記シリーズを読んでいると、氏の思索する力、工作する力がうらやましく、少しでも良いから見習いたくなります。今回は清涼院流水氏の特別講義も入ってちょっと気分転換させてくれます。

京極夏彦氏の「邪魅の雫」(講談社)を読みました。各章の始めを殺人にからむせりふで統一する構成の妙は相変わらず只者ではありません。帝国陸軍の開発した毒薬によるまさに不連続毒殺事件の全容と隠れた首謀者をあらわにする京極堂の終盤の憑物落しはまさに息もつがせず一気に読み込まされました。3年待った甲斐のある大冊です。

竹本健治氏の「ウロボロスの純正音律」(講談社)を読みました。これまでのウロボロス物2作が特異な構成だったのに比べるとストレートな印象ですが、実在の作家、評論家、編集者集合の面子の豪華さやペダントリー、謎また謎の連続に興奮してしまいます。しかし犯人があれというのはちょっと吃驚してしまいました。ミステリの原点に戻ったとも言えるのかもしれませんが。(2006-9-30)


梅田望夫氏の「シリコンバレー精神」(筑摩書房)が文庫化されたので読みました。私より少し年上になりますが、IT分野のグルとなりつつあり、その理由もこの本を読むとうなづけてきます。シリコンバレー経済の「セリエA」化を語り、日本は未だJリーグブームの初期であり、もっと優れた才能が起業家を目指す流れが生まれ、起業家達が真のプロ意識をもって切磋琢磨し、世界を意識したレベルアップを志向することが不可欠と説く氏の論は5,6年たって全く古くなっていないと思います。のHZ

森博嗣氏の「カクレカラクリ」(メディアファクトリー)を読みました。古い村を訪れた廃墟マニアの主人公達を待っていたのは、天才絡繰り師が残した謎の絡繰りが120年後に動作するという伝説だった、絡繰り師の子孫の教師とともに謎に迫る主人公達。と書くとサスペンス風ですが実際にはゆるゆると進みます。「からくり儀右衛門」など読んだ世代には120年の時を超えて動き出す巨大絡繰りというのに惹かれてしまいます。物象部の顧問を務める理科教師のキャラが中々味があって良いです。コカコーラ120周年とのコラボということで登場人物がよくコカコーラを飲むのはご愛嬌といった感じでしょうか。

島田荘司氏の「UFO大通り」(講談社)を読みました。新作長編ではなく、雑誌掲載の中編2本をまとめたものですが、御手洗&石岡ファンにとっては干天の慈雨のようなもので一気に読んでしまいました。表題作は初期の短編を思わせるわくわくする謎物、もう一本の「傘を折る女」は「10マイルは遠すぎる」を思わせる純粋推理編です。月間島田荘司が続きそうでしばらくは楽しめます。

森博嗣氏のGシリーズ第5弾「λに歯がない」をゲット。最新の研究所で起きた謎の密室殺人などと聞くとうれしくなってしまいます。犀川助教授も推理しておりS&Mシリーズのフレーバーがあります。一方でVシリーズの保呂草氏も登場したりして森ワールド全開です。主な謎の解明が大胆な物理トリック一発というのは弱い気もする一方魅力的であります(2003-9-18)


田中芳樹氏の「霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿」(講談社)を見つけて即ゲット。一気に読みました。今回は軽井沢を舞台に、ドラよけお涼と宗教原理主義者のアメリカ人大富豪が繰り広げる痛快大バトル、ちょっとホラーありといった感じ。妄想ですが作者もこのシリーズ一番楽しんで書いてるような気がします。ジャッキー若林もまたまた活躍しますが、私のごひいきは室町由紀子さんです。メガネ萌えということで(苦笑)

加賀美雅之氏の「風果つる館の殺人」(光文社)を読みました。名予審判事ベルトランシリーズ第3作、瀕死の大富豪と3人の娘と孫達、異様な遺言状と謎の相続人と来たら絶対思い浮かぶのが「犬神家の一族」ですが、作者もあとがきでオマージュだと公言しています。しかしトリックとその解明は島田荘司氏の御手洗潔物を思わせるダイナミックなもの。本作は大分展開読めましたが、それも相性が良いということで、私としては寡作のこの作家さん結構好きなのです。(2006-8-27)


麻生幾氏の2年ぶりの新刊「瀕死のライオン」(幻冬舎)が出たので早速ゲット。一気に読みました。北朝鮮の日本”隷属化”作戦の一端をつかみ迫ってゆく引退間際の内閣情報調査室の諜報員。それに対処する為立ち上がる陸自特殊作戦群のプロフェッショナル達。閉塞した政治コンディション故の特殊作戦オプションは果たして成功するのか・・・。という具合で相変わらずの緻密なディテールと息も吐かせぬ展開に楽しまされてしまいます。しかし実際の特殊作戦群も描かれたような集団なんでしょうか?だとしたら凄いと思い感心してしまいますが。

芦辺拓氏の「千一夜の館の殺人」(光文社)を読みました。名探偵森江春策シリーズの最新作であり、同シリーズの特徴である入り組んだ謎と物語性に富んだ佳作だと思います。館の構成の謎や系図の謎には気付きましたが、それらが大きな構図にはめ込まれ最後に犯人とRSA暗号の解明に結びつく様は圧巻です。

笹本祐一氏の「宇宙へのパスポート 3」(朝日ソノラマ)をネットでゲット。宇宙開発現場取材日記も3作目となると打ち上げにすり違ってしまうケースや、宇宙開発のちょっと苦い部分のレポートも増えてきます。会社員時代多少宇宙開発に関わった人間としてうなづいてしまう点も多々あり。それでもどっかに希望を見出したい気分もあって、最後の”はやぶさ”取材に多少それを見つけた感じがします。でも現場レベルの努力に還元させるのではなく、日本国としてしっかりした宇宙開発戦略を持って欲しいと思って止みません。(2006-8-17)


小松左京氏+谷甲州氏の「日本沈没第二部」(小学館)を読了。第一部を読んだのは中学生の頃ですが、このような形で完結するとは思いませんでした。しかし面白いです。第一部との繋がりを持った上で独立して読める重厚な作品に仕上がっていると思います。

宇月原晴明氏の「黎明に叛くもの」(中央公論新社)が文庫化されたのでゲットし再読。寡作ですが、氏の伝奇歴史小説は密度が濃く発想がユニークで楽しめます。本作も松永久秀が暗殺教団の系譜を継ぐものというアイディアにはすっかり参りました。(2006-7-26)


島田荘司氏の「溺れる人魚」(原書房)をゲット。一気に読みました。再録3作と書き下ろし1作の中編集ですが、結構中身は濃いです。御手洗潔の出る作品もしっかりありますし。表題作の同時刻に遠隔地で同一の銃で二人が死んだという謎はなかなか魅力的です。リスボンという街の特性を使ったトリックにも唸らされました。

森博嗣氏の「MORI LOG ACADEMY 2」が出たので早速読みました。さりげなく書いてますがブログに記された仕事量だけでも相当なものだと思います。敬服です。今回も算数と国語の章が面白かったです。算数の問題が出ると解こうと張り切ってしまいます。

柄澤齋氏の「ロンド」(東京創元社)が文庫に入ったのでゲットしました。幻の絵画をめぐる連続見立て殺人という設定だけでわくわくしてしまいます。硬質の文章は何となく「虚無への供物」を思わせるところがあります。しかし版画界の第一人者がこれだけのミステリをものするとは、一芸に秀でた人は他の分野でも業績を残せるということでしょうか。

江國香織氏の「号泣する準備はできていた」を読みました。女性心理について詳しくなる間もないまま中年になってしまった私ですが、この短編集を読むと、女性の孤独と微妙な心理の襞のようなものを感じてしまいます。多くの作品に飲食のシ−ンが出てくるのは、それが女性にとってとても重要なことだからなのでしょうか?読み終わってなんとは無く前向きな気分になりました。

高城剛氏の「ヤバいぜっ!デジタル日本」(集英社)を読了。少々興奮気味。氏の作品に出会ったのは15年ほど前TVで放送された「BANANACHIPS LOVE」でした。以後氏の活動には注目していました。Coolなスタイルを提供していくビジネスがこれからの日本を牽引していくということ、ハイブリッドなライフスタイルが日本を活気づけるということ、氏の主張に探していたものを見つけたような気がしました。などと言うのはあまりヤバくないですね。(2006-7-16)


五十嵐貴久氏の「1985年の奇跡」(双葉社)が文庫化されたので購入し再読。青春小説の王道とも言うべき駄目運動部の逆転ストーリーですが、キャラクターの造形やディテールが良く書き込まれており引き込まれてしまいます。1985年というリアルな年を舞台つぃていることが私的には超Goodです。自分の1985年を思い起こして少しノルタルジックな気分になってしまいました。青春小説読んで笑って、少し切なくなって、元気をもらうというのはもう青春じゃないということなのでしょうか?そうではないと言いたい所です・・・。80年代に青春を過ごした方、お勧めです。

森博嗣氏の「フラッタ・リンツ・ライフ」(中央公論新社)が出たので即ゲットしました。スカイ・クロラ・シリーズの今までの主人公だった草薙水素ではなく部下のクリタの視点で描かれており何となく感情移入し易い感じがします。まあ気分ですが。空中戦シーンの描写がスリリングかつリリカルです。

佐藤正午氏が岩波新書を出したというので早速「小説の読み書き」(岩波書店)を読んでみました。近代日本文学の大家たちの作品を素材とした文章論とでも言うべき作品で、遡上に上げられた作品を再読したくなります。また氏一流のエッセイ集としても楽しめる一品だと思います。それにしても氏の新作長編を早く読んでみたいですね。

三田誠広氏の「永遠の放課後」(集英社)を読了。氏の小説に出会ったのは高校生の時で、周囲に違和感を持ってしまう主人公に共感を覚えたものでした。本作でも、周囲と打ち解けない主人公が音楽を介してできた親友とその幼馴染の女の子との微妙な関係に悩み主人公のプロへミュージシャンへのスカウトがからんで・・・というストーリー。主人公たちの関係性に懐かしさと羨望の感情を覚えます。これで氏の青春恋愛小説3部作が中学編、高校編、大学編と揃った訳ですね。

中谷美紀さんの「嫌われ松子の1年」に手を出しました。映画「嫌われ松子の一生」が面白かったので、その裏側を描いたエッセイということで読んでみると裏側も中々面白いものでした。監督との葛藤や女優の日常生活がかいま見れて笑えます。

光原百合氏のデビュー作「時計を忘れて森へいこう」(東京創元社)が文庫化されたのでゲット。おおた慶文氏の表紙がGOODです。氏の叙情的な文章で描かれる森のイメージを追っていると、とっても癒される感じがします。(2006-7-3)


鈴木眞哉氏の「戦国15大合戦の真相」(平凡社)を読みました。戦国時代の信長・秀吉・家康中心史観になれてしまってる身に、異議申立として新鮮に響きました。私も織田信長は戦術家としてより政戦略家としてより評価されるべきだと思います。

佐々木譲氏の「疾駆する夢」(小学館)を読みました。自動車業界にはあまり詳しくありませんが、元電機メーカーの技術者上がりとして、ものづくりに執心する主人公たちの姿に共感を覚えました。個人的にはマスキー法対策で苦慮するくだりがエンジニアの難しさ、楽しさが出ていて面白かったです。

「超天才マジシャン山田奈緒子の全部すべて、まるっとスリっとゴリっとエブリシングお見通しだ!」(ワニブックス)をゲット(何て長いタイトルだ)。TRICKは第1シリ−ズからファンなんです。こういうお遊び本結構好きです。仲間由紀恵さんとの仮想対談や登場人物の奈緒子への証言が笑えました。(2006-6-15)


魚住昭氏の「野中広務 差別と権力」(講談社)を読みました。野中広務という政治家にはちょっと興味がありましたがもはや過去の人、という感じもしてました。しかしその出自(不肖にも知りませんでした)から権力の階段を上ってゆく様を描いたこのノンフィクションを読んで、 日本の政治史に残すべき人物であると思わざるを得ませんでした

竹中治堅氏の「首相支配−日本政治の変貌」(中央公論新社)を読みました。日本政治の構造的な変化について平易に解説してくれる本だと思います。ポスト小泉が世評にのぼる今日この頃首相の資質に国民世論の支持を挙げているのが示唆的です。小泉首相の諸政策について必ずしも全面的に賛成するものではありませんが、この本で述べられた2001年体制は、いわゆる1955年体制より日本の民主政治に関して進歩した形態だと思います。ちなみに私は首相公選制賛成論者です。

島田荘司氏の「帝都衛星軌道」(講談社)をゲット。ノンシリーズものですが一気に読みました。前編の誘拐犯人との声なき追跡劇の描写は息詰まるものがあり、その分犯人との会話が明らかにされる後編はまた唸らせられてしまいます。トリックはコロンブスの卵のようなものですが、タイトルとも関連し構成の妙を感じます。別個に発表された作品を再構成したもののようなので、前編と後編の間の挿話がやや木に竹を接いだような印象を与えるのが残念。(2006-5-29)


森博嗣氏のGシリーズ新作「εに誓って」(講談社)を早速ゲット。今回はバスジャックとちょっと変わったモチーフですが、使われたトリックには第4章の終わりまで気付けませんでした。シリーズ全体に関わるような描写もありシリーズを再読したくなりました。氏の文章は小説のものもだんだんシャープな散文詩のような感じになり読み進むのが快感です。犀川先生が少ししか出なくて残念。でも必ず真賀田四季博士は登場しますね。

小沢一郎氏の「日本改造計画」(講談社)を古書店で入手して再読。10数年前に読んでなるほどと思いましたが、政治改革や地方分権など制度的には氏の考えに近づいたものの運用が今一のような提案もあれば、五つの自由など今でもそう色あせていないと思える提言もあります。新刊書としても増刷されるそうで、この氏には是非この原点に戻って頑張ってもらいたいものです。私は小沢民主党応援してます。

北村薫氏の「街の灯」(文藝春秋)が文庫化されたので再読しました。昭和一桁という設定のノスタルジー感が氏の上品な文章ととってもマッチしています。女性運転手の<ベッキーさん>のキャラクターがとっても謎めいて魅力的です。シリーズ続編も期待してしまいます。

井田博氏の「日本プラモデル攻防史」を読みました。模型の歴史を俯瞰的に眺めているようで楽しめました。中途からは自分が子供のときわくわくして作ったプラモのことを思い出しました。時間ができたらまた何か作ってみたいな。(20006-5-13)


佐々木俊尚氏の「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」(文藝春秋)を読みました。グーグルについては便利なツールとして、また技術オリエンテッドな企業としてその野心的な計画について肯定的に思ってきましたが、恥ずかしながらその負の側面については初めて知らされました。反グーグルにはなりませんが、その行動については良くワッチしていかなければならないと思いました。(2006-4-25)


森博嗣氏の「MORI LOG ACADEMY 1」(メデァファクトリー)をゲット。氏の2005年10月からのWEB日記をカテゴライズしてまとめたものの第1弾です。氏の文章はいつも新鮮な刺激を与えてくれます。数学の記事がなかなか面白かったです。

草刈民代氏のエッセイ「バレエ漬け」(幻冬舎)を読みました。映画「Shall we ダンス?」以来ファンだったんです。イメージを裏切って意外と暴れん坊な性格に驚きましたが、バレエへの熱い思いは伝わって来ました。所々にある夫君の周防監督のエピソードがほほえましいです。それにしても周防監督、新作はまだですか?(2006-4-18)


松岡圭祐氏の「千里眼 背徳のシンデレラ」(小学館)を読みました。このシリーズもずっと読んでまして、自衛隊や防大の描写に一部誤認があるのはご愛嬌として、相変わらず息もつかせぬエンターテイメントに仕上がってます。シリーズ中最大の敵役である友里佐知子の過去が語られる部分では虚実入り混じった戦後史の構成に作家のイマジネーションを感じます。しかし釈由美子さん、悪くないんだけど彼女が岬美由紀のイメージNo.1になってたというのはちょっとびっくり。

幸田真音氏の「あきんど 絹屋半兵衛」(新潮社)が改題、文庫入りしたので再読。経済小説で有名な氏の初めての時代小説とは思えない力作です。企業のエンジニアやってた身としては、より良い製品を目指してこだわり続ける職人の姿に共感を覚えます。悪役に扱われることの多い井伊直弼もちょっと違った視点で描かれていて魅力的です。(2006-4-12)


海野弘氏の「秘密結社の世界史」(平凡社)を読みました。陰謀史観によらない冷静な筆致が好感もてます。カルトはそうでしょうが、テロリストも秘密結社というのは新鮮な視点だったと思います。

芦辺拓氏の「少年は探偵を夢見る」(東京創元社)を読みました。名探偵森江春策シリーズの連作短編集です。トリックは結構わかりましたが、雰囲気で読ませられてしまいます。作者のミステリと名探偵への思い入れが伝わってくる一冊です。(2006-3-29)


森博嗣氏の「アイソパラメトリック」(講談社)の文庫版を入手しました。限定版で出たのを手に入れられなかったのでうれしいです。奇妙な味の掌編と写真集ですが、写真とその表題を眺めていくだけでも目の前が洗われていく気がします。

杉山正明氏の「モンゴルが世界史を覆す」(日本経済新聞社)を読みました。モンゴル史から見た9.11やモンゴル世界帝国とアメリカの比較、遊牧文明などの知見が新鮮で面白かったです。(2006-3-19)


福井晴敏氏の「Op.ロ−ズダスト」(文藝春秋)が出たので速攻ゲット。受験勉強も忘れ上下巻を一気読みしました。燃えました。氏のダイスシリーズで若い工作員と挫折感を抱いた中年の公安警察官という設定は今までもあったパターンですが、本作では更に彫り込まれています。最終局面での臨海副都心での攻防はとにかく読ませます。そして日本への熱いメッセージ。早くも今年のベスト候補かもしれません。読むべし。

二階堂黎人氏の宇宙捜査艦ギガンテスシリーズの「聖域の殺戮」(講談社)が出たので早速入手。SFミステリとして良く仕上がっていると思います。どんでん返しもあり。まあ読めましたが。氏がペリーローダンシリーズも好きなのが窺えます。

猪瀬直樹氏の「道路の権力」(文藝春秋)を読みました。政策決定を巡るせめぎあいが息もつかせぬスリルをもって活写されています。これも政治というジャングルでの冒険ドキュメントじゃないでしょうか。それにしてもこうしたファウトファインディングなプロセスをフォローできない今の日本のジャーナリズムには?です。(2006-3-15)


海野弘氏の「陰謀の世界史」(文藝春秋)を読みました。陰謀史観には否定的な私なのですが、陰謀を社会文化史的に捉えてみようとする試みには興味深く読め楽しめました。しかし読んでる内にそんなこともあるかなと思ってしまうのが怖いです。(2006-3-1)


真保裕一氏の「繋がれた明日」を読みました。罪と罰について考えさせられる社会性の強い力作です。ドラマ化されるそうですが、どう描かれるのか、楽しみです。

志水辰夫氏の「生きいそぎ」(集英社)が文庫に入ったので入手して一気に読みました。短編集ですが志水節は相変わらずのもの。各編とも削ぎ落としたようなラストが印象的でなかなか良いです。

辛酸なめ子氏の「消費セラピー」(集英社)を読みました。誤解を恐れず言うと女性の性を凝縮したようなテーマなのに、どこか男性的な視線が垣間見えて興味深かったです。

梅田望夫氏の「ウェブ進化論」(筑摩書房)を読みました。インタ−ネット社会の行く末を見据えておりためになりました。しょぼいHP運営している身としては夢みたいな話でもありますが、フォローしていきたい所でもあります。(2006-2-23)


奥田英朗氏の「マドンナ」(講談社)が文庫に入ったので入手。ペーソスのある文体にサラリーマン時代を思い起こしました。もう自分も主人公たちに近い年齢なんだな。

ブライアン.ラムレイの「地を穿つ魔」(東京創元社)を読みました。クトールー神話ファンとしては、こうして新しい形で神話が続いていくのは少し複雑な気もしますが、良いと思います。

森博嗣氏の短編集「レタス・フライ」(講談社)が出たので即攻ゲット。西野園萌絵の登場する短編では犀川助教授は登場しませんが、Vシリーズとの邂逅があって楽しませてくれます。

ドラマ「アンフェア」の原作になった秦建日子氏の「推理小説」(河出書房新社)が文庫化されたので入手。デビュー作らしからぬ凝った構成でなかなか楽しませてもらいました。

大前研一氏の「ロウワーミドルの衝撃」(講談社)を読みました。ロウワークラスな身としては身につまされる話です。しかしだからこそ改革が必要だという氏の主張には強く頷きます。

内井惣七氏の「空間の謎・時間の謎」(中央公論新社)を読みました。大学時代の講義を思い起こし楽しくよみました。しかしライプニッツってやはり偉大だったんですね。(2006-1-30)


笹本祐一氏の「小娘オーバードライブ 2」(朝日ソノラマ)を読みました。ライトノベルですけどキャラクタ描写だけでなくディテールへのこだわりが良くって楽しく読みました。

ハードカバー前作の「神はサイコロを振らない」が連ドラ化される大石英司氏の新刊ハードカバー「ぼくらはみんな、ここにいる」(中央公論新社)をゲット。タイムスリップものですが、タイムスリップ先でのサバイバル生活のディテールが氏らしいところ。S-SAGシリーズの主人公らと同じ苗字の登場人物が2人もいるのは確信犯でしょうか。最後ちょっと泣けます。

毎年年末の楽しみの塩野七生氏の「ローマ人の物語]W キリストの勝利」(新潮社を)入手。一気に読みました。末期に近いローマ帝国をキリスト教が席捲していく様が冷静な筆致で描かれています。西欧社会に生きながらキリスト教徒でない氏だからこそ書ける史書だと思います。”背教者”ユリアヌスの分析も唸らせられます。

ちょっと変わった所でアストロ球団製作委員会の「メイキング・オブ・アストロ球団」(太田出版)を読みました。熱いです。小学生の時に心躍らせたあのアストロ球団が実写化されてたなんて。山形でやってないのが残念でなりません。(2006-1-5)


蘇部健一氏の「六とん2」(講談社ノベルズ)を読みました。前作「六枚のとんかつ」を凌ぐ脱力系アホバカミステリです。こればっかりでも困りますけど、こんな作品も私好きです。

梶尾真治氏の「胸いっぱいの愛を」(小学館文庫)を入手。原作者本人によるノベライズというのも珍しいですが、氏らしいリリカルな作品に仕上がってると思います。

待ちに待った島田荘司氏の「摩天楼の怪人」(東京創元社)をゲットしました。御手洗潔のアメリカ時代のエピソードなので石岡君が出てこないのが寂しいですが、マンハッタンの高層マンションで起きた殺人事件の謎に時間を越えて御手洗潔が迫るくだりには相変わらずわくわくしてしまいます。氏の建築論も伺えてお勧め。

今月も森博嗣氏の本が出ました。「森博嗣のTOOLBOX」(日経BP社)です。雑誌連載のエッセイをまとめたものですが、最近ご無沙汰なものづくりへのこだわりが感じられます。

三浦展氏の「下流社会」を読みました。興味深いテーマなので買ってから気付いたのですがベストセラーだそうで。マーケティング理論に基づいた分析には説得力あり。私も下流生活かも。3Pの内パソコンとページャーには頼ってるしなあ。

幸田真音氏の「代行返上」(新潮文庫)を文庫で再読。中途退職して自営業を目指してる身には年金問題は興味があります。氏の作品らしく厳しい現実の中に希望が見出せるラストに救い。

島田荘司氏の「エデンの命題」を新聞広告で見て即入手。ノンシリーズものでやや結末が甘い感じもしますが、21世紀の科学の進歩の中で本格はどうあるべきか模索いている様が見てとれます。

梶尾真治氏の「クロノス・ジョウンターの伝説」を読みました。解説にも書かれていますが時間旅行テーマに純愛ってなんてよく合うんでしょう。氏のリリカルな文章に思わず涙しました。映画より面白いです。(2005-11-29)


小谷野敦氏の「帰ってきたもてない男」(筑摩書房)を読みました。前作同様氏の恋愛論には、41歳毒男としては身につまされることばかりです。しかし氏が結婚してX1になってたとは・・・。驚きです

大前研一氏の「ザ・プロフェッショナル」(ダイヤモンド社)をゲット。世界レベルの経営の泰斗の言葉には重みがあります。私も氏の言うようなプロフェッショナルを目指したかった。おっと落ち込む前に第2の人生目指して見取り稽古に励みましょうか。

また森博嗣氏で「大学の話をしましょうか」(中央公論新社)が出ました。氏の生産量には驚くばかり。私も一時国立大大学院の工学研究科にいたのでうなづきつつ読みました。大学も変わっていそうで変わらないところもあるんですね。

林譲治氏の「ウロボロスの波動」(早川書房)を読みました。ブラックホールの軌道を改変して太陽系規模のエネルギー転送システムを造る、なんという設定にわくわくしてしまいます。良質のハード宇宙SFです。最近この分野の若い作家が増えてハードSFファンとしてはうれしいです。(200-10-26)


大石英司氏の「戦艦ミズーリを奪取せよ」(中央公論新社)を読みました。サイレントコア一同がオールスターキャストで活躍しており堪能しました。イラク派遣へのスパイスも効いてます。

京極夏彦氏の「京極噺 六儀集」(ぴあ)をゲット。同氏の活躍分野も広がってますね。でも最近の作家で古典の世界に新風を吹き込めるのは同氏しかいないと思っています。

森博嗣氏のGシリーズ新作「τになるまで待って」が出たので即入手。今回は館物です。Gシリーズってミステリのコードへの挑戦がモチーフなんですね。犀川助教授がますます超人的になってます。

田中芳樹氏の「アルスラーン戦記11 魔軍襲来」を読みました。実に待たされましたが待たされがいのある一作です。ヒロイックファタジー風味が強くなっていますが、キャラクターの書き込みも深くなっており楽しめます。(2005-9-24)


森博嗣氏の「森博嗣の浮遊研究室5 望郷編」(メディアファクトリー)を読みました。シリーズもこれが最後となるともったいない気がします。クイズに数問しか答えられなかったのが残念。

新城カズマ氏の「サマー/タイム/トラベラー2」(早川書房)を入手。どこまでも時を駆けていく少女のイメージが圧巻。鶴田謙二氏のイラストも良いです。

T.クランシーの「国際テロ」(新潮社)をゲット。ジャック.ライアンシリーズも子供の代に入ってしまったかと思うと感慨深いです。まんまの訳タイトルですがテロに対するアメリカの苛立ちの一面がよく出ていると思います。

木村多江さん主演でドラマ化されるということで着目した北森鴻氏の蓮丈那智フィールドファイルシリーズを、「凶笑面」、「触身仏」(新潮社)と一気読み。いや面白い本を見逃してました。民俗学的な謎と現実の事件がからまって提示され、双方を解き明かすという好みのフォーマットでこれだけ面白い話を次々見せられると感動してしまいます。諸星大二郎氏の「妖怪ハンター」へのリスペクト入ってるのも高評価です。9月のドラマが楽しみ。(2005-8-3)


敷村良子氏の「がんばっていきまっしょい」(幻冬舎)がTVドラマ化を機に文庫化されたので入手しました。まだ若書きの感もありますが高校生の部活物ってちょっとノスタルジーを感じ惹かれてしまいます。さすが幻冬舎、商売上手。

森博嗣氏の「ダウン・ツ・ヘヴン」(中央公論新社)が出たので即ゲット。このシリーズはクラシカルな飛行機への作者の思い入れが感じられて好きです。

森岡浩之氏の「星界の断章1」(早川書房)を読みました。星界シリーズも本編が中々出ませんが外伝で渇を癒す感じです。

新城カズマ氏の「サマー/タイム/トラベラー1」(早川書房)を読みました。何枚もの地図を使った作品世界の作り込みにまず感激。タイムトラベルものへのオマージュと出てくる高校生たちのキャラに共感してしまいます。2巻が楽しみ。(2005-7-14)


大前研一氏の「やりたいことは全部やれ」(講談社)が文庫に入ったのでゲットしました。大学生時代に氏の「企業参謀」を読んで「こんな仕事ができるようになりたい」と思ったのも遠い昔。氏みたいなアクティブでポジティブな人生が送れたら本当いいなと思います。

森博嗣氏の「Θは遊んでくれたよ」(講談社)、「どきどきフェノメノン」(角川書店)を読みました。前作は密室と早業殺人、今作はダイイングメッセージとミッシングリンクとGシリーズは何か古典へのオマージュが感じられます。「どきどきフェノメノン」は読んでてドキドキしました。いつミステリになるかと思って。

大石英司氏の「沖ノ鳥島爆破指令」(中央公論新社)をゲット。一巻読みきりなので少し物足りなさも感じましたが、サイレントコアの新メンバーもかなりキャラが立ってきて活躍しています。それにしても日本は国境問題に関してまだまだ甘いと思います。

福井晴敏氏の「戦国自衛隊1549」を読みました。相変わらず熱い。読みながら燃えてきます。「Twelve Y.O.」とのリンクもあり福井ワールドになってます。映画が楽しみです。(2005-5-31)


畑村洋太郎教授の「失敗学のすすめ」(講談社)が文庫化されていたので入手。昔会社にいたころ少し関係のあった先生なのでした。失敗を分析することの重要性がよくわかります。

芦辺拓氏の「三百年の謎匣」(早川書房)を読みました。森江春策物です。現在の事件は少々物足りませんでしたが大部を占める謎の書物の物語の絢爛豪華さにひかれてしまいました。

二階堂黎人氏の「希こう人の不思議」(光文社)をゲット。水乃サトル学生時代のシリーズです。作者の手塚治虫作品への思い入れが伝わってくるようです。古書ミステリって結構好きなんですよね。

真保裕一氏の「ダイスをころがせ!」(新潮社)が文庫に入ったのでゲット。中年に入った自分としては、中年でも青春時代のような熱さで戦えるんだという応援歌のように感じて一気に読みました。

原りょう氏の「ミステリオーソ」、「ハードボイルド」(早川書房)を読みました。沢崎シリーズの作者の意外な一面やバックボーンとなった読書の内容が知れて興味深かったです。

田中芳樹氏の「七都市物語」の世界を舞台とした「『七都市物語』シェアードワールズ」(徳間書店)をゲット。田中芳樹氏版が出ないのでこういった試みは大歓迎です。中では、元技術屋としては新兵器の開発者たちを題材にした羅門祐人氏の作品に惹かれました。(2005-4-29)


森博嗣氏の「ミニチュア庭園鉄道3」(中央公論新社)を読みました。大人になって趣味にどっぷり浸れるというのは幸せなことだとつくづく思います。

月末になって村上龍氏の「半島を出よ 上、下」(幻冬舎)が出たのでゲットしてしまいました。ボリュームと情報量に圧倒されつつ一気に読みました。北朝鮮の特殊部隊が福岡を占拠するという設定に問題提起を感じますが、特殊部隊と戦う日本人少年テロリストたちの変なキャラがまた良いです。

鯨統一郎氏の「新・世界の七不思議」(東京創元社)があったのでゲット。昔一読して強烈なインパクトを受けた「邪馬台国はどこですか?」の続編です。前作ほどのインパクトはありませんが、脳味噌を揺さぶられるような謎解きに引き込まれてしまいます。(2005-3-30)


季刊島田荘司Vol.04(原書房)がやっと出ました。季刊というのはもう?だなあ。「金獅子」の続きが載ってなかったのは残念ですが御手洗潔物の新作中篇が入っていたので良しとしましょう。しかし島田荘司氏の高校時代の話など読んでると、吉敷刑事も実は作者の分身なんだなと思います。

田中芳樹氏の薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ最新刊「夜光曲」(祥伝社)を読みました。相変わらずのキャラの立ち様とストーリーテリングのうまさに一気に読まされてしまいます。私は実は室町由紀子警視が良いなあ。ところでこのシリーズこれで3出版社から出てることになるけど大丈夫なのかなあ。勝手に心配してしまいます。

大石英司氏の「ダーティー・ボマー 下」(中公ノベルズ)をゲットしました。サイレントコアがずっと待機状態でどうなるかと思っていましたが最後の最後で決めてくれました。戦う営業マン熊谷博氏や戦うアホバカOL小比類小町嬢の活躍も見ものです。

佐藤大輔氏の「皇国の守護者 9」(中央公論新社)を読みました。ファンタジーな世界とリアルな戦闘描写の結合、ひねた性格の主人公新城直衛に読みいってしまいます。しかし佐藤大輔氏も完結しないシリーズものの宿題大分抱えてるなあ。どのシリーズも早く続きが読みたいのに全然でないのには困ってしまいます。(2005-2-28)


ブライアン.ヘイグ゙のドラモンド法務官シリーズの「極秘制裁」、「反米同盟」、「キングメーカー」(新潮社)を年始に一気読みしました。軍事リーガルサスペンスという感じで面白かったです。しかしあのヘイグ国務長官の息子が作家になってるとは。

大石英司氏の「ダーティ・ボマー 上」(中公ノベルズ)をゲット。下が来月ということは執筆が間に合わなかったのでしょうか。イラクの選挙を控えビビッドなテーマ。核テロリズムのリアルな描写が秀逸です。下巻音無二佐とサイレント・コアがどう活躍するか楽しみです。

H.P.ラヴクラフトの「ラヴクラフト全集 7」(東京創元社)がやっと出ました。前作から約15年のお待ちかねです。小学生の時にラヴクラフトに出会って以来好きだったんですよね。大学の図書館で「真・ク・リトル・リトル神話大系」や「定本ラヴクラフト全集」読み漁った日が懐かしいです。本書は初期のダンセイニ風の掌編が多いですが、ラヴクラフトらしさが随所に出てます(2005-1-30)


大石英司氏の「神はサイコロを振らない」(中央公論新社)を読みました。氏にとっては私の知る限り2冊目のハードカバーではありませんか。今までの作品とは違ってリアルファンタジーとでも言うべき作品ですが、随所に氏らしさが出ています。ちょっとほのぼのした気分になりました。

神津慶次朗氏の鮎川哲也賞受賞作「鬼に捧げる夜想曲」(東京創元社)を今更読みました。20歳の処女作だけあって若書きの粗さも目に付きますが勢いもあります。撰者評にもあったように京極夏彦+横溝正史の雰囲気は中々良い感じ。随所にある正史へのオマージュもにやっとさせられます。

また森博嗣氏の新作「工学部・水柿助教授の逡巡」(幻冬舎)が出ました。M&Sシリーズ前作は日常の謎風でしたが、今度は氏自身の作家デビュー当時を描いてるような感じです。地の文がかなり暴走していてそれだけでも笑えます。

年末のお楽しみ、塩野七生氏の「ローマ人の物語 ]V 最後の努力」(新潮社)をゲットしました。このシリーズも完結に向かってもう少しといった所。感慨があります。教科書等ではほんの数行の背景にあるドラマに毎度のことながら引き込まれてしまいます。

あのラドラムの遺作(と言っても未訳がもう1作ありますが)、「メービウスの環」(新潮社)を読みました。相変わらず陰謀とアクションの連続に少々満腹感を覚えつつも読んでしまいます。敵役のアラン・デマレストの造形が良いです。でも何でメビウスじゃなくてメービウスなのだろう。

矢作俊彦氏の「ロング・グッドバイ」(角川書店)を読みました。あの二村永爾が戻ってきたのにも感動ですが、内容はチャンドラーのあの「長いお別れ」への見事な返しになっていると思います。一気に読ませられました。(2004-12-30)


森博嗣氏の「森博嗣の浮遊研究室 鳳凰編」を読みました。このシリーズは、読むたびに固定観念に固まっていた頭をほぐして新しい視点を与えてくれるような気がします。それにしても副題の意味がずっとわからなかったのですがやっと今回わかりました。手塚治虫氏のあの名作からだったのですね。

発行は随分前だったのですが、気になっていた渡邉直氏の「帽ふれ」シリーズが近くの本屋に揃っていたので大人買いして一気に読みました。海上自衛官の友人もいるし、自衛隊に対しては肯定的な立場をとってきた私なので、シーマンシップ一杯の内容に満足。気のせいか徐々にうまくなっていくのが感じられる気がします。最新短編集の「三等海佐物語」は非常によくできた佳作揃いです。発行元もマイナ(失礼)なのであまりメジャではありませんが、もっと読まれて良い本だと思います。ちなみにあの「亡国のイージス」の参考文献にもあがっている作品です。(2004-11-29)


島田荘司氏の「龍臥亭幻想」を読みました。あの「龍臥亭事件」から8年も経ってしまったんだなという感。新本格の元祖だけあって幻想的な謎とその解明は手馴れたものです。「吉敷刑事と御手洗潔の推理がクロス」との惹句にひかれてしまいましたが、二人の実際の出会いはなくって少し残念。

小川一水氏の「復活の地V」は、偶然新潟地震の日に読んでいてちょっと感慨あり。ライトノベル出身ですが、前作「第六大陸」共々大人の鑑賞に耐える作品だと思います。設定は関東大震災と阪神大震災と幕末がミックスされた感じです。

田中芳樹氏の「天竺熱風録」をゲット。日本では無名に近い中国の歴史上の人物の話ですが、キャラクター造形の妙と語り口のうまさに一気に読まされてしまいます。中国物はまだまだ奥が深いですね。それにしても「タイタニア4」はいつ出るのでしょうか。

早くも大石英司氏の新作「魚釣島奪還作戦」が出ました。おなじみサイレントコアシリーズ。司馬三佐の凶悪(?)キャラが光ります。日本は領土問題でもっと毅然とした態度をとらなければならないのではないかと思わされてしまいます(2004-11-4)


しばらくご無沙汰だった新本格のシリーズ物長編が一気に3点も出たので迷わずゲットしました。綾辻行人氏の館シリーズ「暗黒館の殺人」(講談社ノベルズ)、法月綸太郎氏の法月綸太郎シリーズ「生首に聞いてみろ」(角川書店)、二階堂黎人氏の二階堂蘭子シリーズ「魔術王事件」(講談社ノベルズ)です。「暗黒館の殺人」は上下の大部にうっとり。一気に読みましたが館シリーズの現時点での集大成という感じ。同氏のホラー系作品にテイストが近づいているような気もしました。法月氏は殺人1つでこれだけ読ませるなあと思いました。クイーンというよりロスマク志向になってると思うのは私だけ?あとこのタイトルは絶対都築道夫氏の「蛞蝓に聞いてみろ」を意識してると思います。二階堂氏は逆にこれでもかの虐殺と謎のオンパレードに満足。これだけ謎が多いと謎解きにも随分分量を費やしてしまいますね。(2004-10-15)


加賀美雅之氏の「監獄島」を読了しました。上下巻の分厚さと孤島物+館物に惹かれてしまいます。不可能犯罪の謎解きと何度ものどんでん返しに驚きつつ楽しく読み終えました。

森博嗣氏の新シリーズ「φは壊れたね」をゲットしました。あの西之園萌絵が探偵役というのにドキドキ。けど自分的には犀川助教授の方が好きなキャラだったので登場場面が少なく残念。メイントリックは「これってXX殺人じゃん」というものでしたが、雰囲気で読まされてしまいます。(2004-9-18)


サボりまくりでしたので、ここ1月程の間に読んだ本について少し。麻生幾氏の「ケースオフィサー」(扶桑社)を試験後のぶっちゃけた気分で読みました。相変わらず内部取材の効いた一本です。天然痘テロというのもビビッドなテーマでしょう。同じく天然痘テロを扱った大石英司氏の「朝鮮半島を隔離せよ」(中公ノベルズ)も読了。変名で登場するサイレントコアの音無二佐が相変わらずいい味出してます。取材といえばB.ウッドワードの「攻撃計画」(日本経済新聞社)も、ブッシュ政権の内幕を鋭く描いています。日本の新聞記者にこれだけの取材ができるかどうか。

京極夏彦氏の「百鬼徒然袋 風」も出ました。榎木津礼二郎探偵と薔薇十字探偵団の面々の御乱行に笑いつつ読まされてしまいました。中篇集でしたが、このムードで長編も読んでみたいです。

上田次郎氏の「なぜベストを尽くさないのか」を読みました。このTRICKスタッフの遊び心、好きだなあ俺。しょうもないけど。

森博嗣氏の「工作少年の日々」は作者の工作好きをテーマにしたエッセイ集。元プラモ少年としてはガレージのある森家がうらやましい限りです。

殊能将之氏の「キマイラの新しい城」を読了。シリーズキャラクターが立ってます。この設定で読ませるのはやはり殊能マジックSでしょうか。(2004-8-10)


横溝正史賞最終候補作だった真木武志氏の「ヴィーナスの命題」(角川書店)を読了しました。綾辻行人氏の薦にもあるように、いささかリーダビリティ的につらい部分はありましたが、本格ミステリとしても合格点に達しており、自分的にはより青春小説として楽しめました。居そうで居ないような高校生たちのキャラクター群の造形も良くできており、高校時代の自分や友人達に所々重ね合わせたりして楽しんでしまいました。月並みですけど高校生時代って人生の中でも何か特別な時代だと思います(2000-11-24)



随分とサボってしまったので、この夏から9月にかけて読んだ本をまとめて紹介しましょう。まず島田荘司氏の「季刊島田荘司02」(原書房)です。何といっても御手洗潔シリーズの新作が読めるのがたまりません。今号での「ロシア幽霊軍艦事件」は、XXXX王家のXXXXXX皇女ものだということにはすぐ気づきましたが、箱根に現れた幽霊軍艦の正体がXXXだったとは、やられたという感じです(ネタばらしになるため一部伏字)。時代小説新シリーズの「金獅子」は、ハマっ子でこそありませんが、横浜在住、横浜大好き人間の私としては、今後の展開が楽しみです。それにしても原書房って以前は戦史、軍事関係書籍専門のイメージだったのですが、最近随分とミステリに力いれてますね。やっぱり社長代変わりの影響なのでしょうか?

森博嗣氏の「魔剣天翔」(講談社ノベルズ)は瀬在丸紅子シリーズの最新作です。エッセイなどでもおっしゃっている著者の飛行機好き大爆発の感ありですが、私も飛行機好きなので共鳴してしまいました。しかしこのシリーズは謎の凄さに反比例して解決部がどんどんあっさりしていくというのは気のせいでしょうか?

大石英司氏の「深海の悪魔」(中公ノベルズ)は著者久々の海洋冒険物。いつもながら著者の海洋生態学や分子生物学先端へのフォローぶりには脱帽です。本には関係ないのですが、学問的にもこの分野は今後どんどんホットになっていくと思います。未知の海洋生物の襲来にサイレントコアの面々もまたまた大活躍(?)ですが、海外出張にも関らずやっぱりいい場面で登場の隊長音無三佐。この人は著者のシリーズキャラクターの中でも、完全にキャラ立ちまくりの最強の人物ですね〜。

毎年心待ちの塩野七生氏の「ローマ人の物語」の最新巻「賢帝の世紀」(新潮社)をゲット。刊行以来随分進んだものだなーと思いきや、五賢帝時代というとギボンの「ローマ帝国衰亡史」ではまだ最初の所なんですね。しかし、五賢帝と一括りにされるところ、最初のネルヴァを前巻に、最後のマルクス.アウレリウスを次巻に配し、トライヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス.ピウスを一巻にまとめたところに、各々の史上の役割の差を考えた著者の歴史観、人物観が出ていると思うのはうがちすぎでしょうか。

ちょっと毛色変わって佐渡龍己氏の「テロリズムとは何か」(文春新書)は、テロリズムを語源から歴史的に考察し、社会学的モデルで分析している点で、国内ではあまり類書のないものだと思います。国際テロリズムというと我々には直接的には縁がないようですが、これだけ仕事やプライベートでの海外渡航が一般化している現在、誰もが対象になる可能性のある問題として、一度は考えたほうが良いのではないでしょうか。

ディヴィッド.ファインタックの「銀河の荒鷲シーフォートシリーズ」最新作の「ギャラクティックの攻防」(早川文庫)が出ました。主人公のシーフォートも早や60歳台の国連事務総長。しかし彼の環境保護政策に反発する国連宇宙軍のクーデターに対して、相変わらずアクティブに活躍してくれます。しかし反乱鎮圧の最中、愛する3人目の妻も戦死してしまい、シーフォートって本当に悲運と相性の良いヒーローですね。最後の方で再登場した旧友エドカー.トリヴァー(シーフォートとは対照的な性格でいい味出してるキャラです!)が、エピローグでもいい芝居してくれて(笑)、次巻もまた一緒に活躍しそうなのが救いです。

「極大射程」のスティーヴン.ハンターの日本での最新刊にしてアメリカでのデビュー作「魔弾」(新潮文庫)を読みました。著者の銃への思い入れの深さを感じるディテールにこだわった描写は圧巻、これがやっぱりハンターの原点なのでしょう。(2000-10-9)


殊能将之氏の「ハサミ男」、「美濃牛」(共に講談社ノベルズ)を続けて読みました。「ハサミ男」が出版された時は「またシリアルキラーものかよ」と思って手を出してなかったのですが、随分とあちこちで評判が良いので読んでみたら、確かにGoodでした。久々にきれいに決まった叙述トリック(ここまで言って良いのかな?)にやられた感じです。2作目の「美濃牛」は一転して横溝正史へのオマージュ一杯の見立て殺人もの。著者は私と同い年なので、きっと中学生頃の横溝正史ブームにはまったんだろうなと、勝手に想像してしまいます。ちょっとトリックが弱いかなという気もしましたが、遊び心一杯の構成で十二分楽しめました。趣味的には羅堂窓音のキャラクターがとても気に入りました(2000-5-5)


お待ちかねの感ありの、トマス.ハリスの「ハンニバル」(新潮文庫)を読了しました。何かもうハンニバル.レクター博士の異常な美学大爆発という感じで、ラストの脳髄料理のシーンはジョディ.フォスターが出演下りたのもまあ肯けるエグさですが、個人的にはやはり彼女にスターリング役をやって欲しかったです。しかし、トマス.ハリスの寡作ぶりは凄いというかうらやましいような気がします。まだ読んだことのない人、今なら文庫本6冊で「トマス.ハリス」の作品は全て読んだと自慢することができます。脳髄料理の関連で映画も公開された「アナザヘヴン」(角川ホラー文庫)を読み返してしまいました。(2000-4-30)


今ごろという感もありますが、本夏の映画化を睨んで、真保裕一氏の「ホワイトアウト」(新潮文庫)を読みました。氏の作品は一連の「小役人」シリーズを始め、何かタイミングが悪くて殆ど読んでいなかったのですが、もう本作一発ではまってしまいました。現代日本の雪山の中のダムというごく限られた舞台で、これだけハードでスリリングなストーリーを描ける筆力にはもう脱帽するしかありません。夜が更けるのも忘れ一気に読んでしまいました。昔「ナヴァロンの要塞」や「アイガーサンクション」を初めて読んだときにも似た感動です。映画化が楽しみな一方ちょっと不安になりました。(2000-3-13)


ラリー.ボンドの最新作「怒りの日」(文春文庫)をゲット。前作「テロリストの半月刀」に続いて陸軍特殊部隊のピーター.ソーンとFBIのヘレン.グレイ特別捜査官のカップルが主人公です。先達のクランシーにあやかって遂にシリーズ化を進めるつもりでしょうか?アメリカに対する核テロリズムの阻止がテーマのテクノスリラーとくると、クランシーの「恐怖の総和」が思い出されますが、私的には本作の方がシンプルなプロットとサスペンスタッチがうまくかみ合っていて面白く読めました。(2000-3-10)


久々のSFです。デビット.ファインタックの「銀河の荒鷲シーフォート」シリーズの(早川文庫)現在翻訳されている5巻までを一気読みしました。アメリカ,日本の経済的没落で保守化した国連と国教会によって統一された地球、超光速航法はあるけれども超光速通信手段はないといった舞台設定が、18、19世紀頃のイギリス海軍(ホーンブロワーの活躍した頃ね!)を彷彿とさせる国連宇宙軍を描き出しているところが、うまいなと思わせます。ストーリーは一介の士官候補生ニコラス.シーフォートが、思わぬ出来事の連続で艦長になってしまい、その頑固というか自罰的な性格で悩みつつも次々と功績をあげ、自分では嫌でたまらないのに英雄に祭り上げられていく話で、一種のビルドゥングスロマンでもありますが、宇宙を舞台とした海洋アクション小説としてもよくできています。嫌々ながら英雄に祭り上げられてくところなんかは「銀河英雄伝説」のヤン。ウェンリーとも似てますが、こちらの方が設定上キリスト教的に悩んでしまう分やや私なんかには臭みを感じますが、それでも結構入れ込めました。翻訳は野田昌宏宇宙軍大元帥閣下で相変わらずの名調子です。(2000-3-5)


ごひいきのミステリ作家であり、某国立N大学助教授でもある森博嗣氏のHPでの日記をまとめた「すべてがEになる」(幻灯舎)を読みました。内容は作家、研究者、趣味人としての氏の人となりが良くわかるもので楽しく読めます。山下和美氏の漫画も入ってお得です。森氏はMac派なんですけど、私は残念ながら非(反ではない)Mac派なんですよね。けれどこの本の前書きなど読みつつふと思ったのは、IT技術の進歩とネットワークの普及によって活字媒体としての"本"はいったいどうなるんだろうということです。インターネット上でアクセスする方がハイパーリンク等の機能もあって便利ですし、自分の全ての蔵書、更に新刊書が全てネットに接続した端末からアクセスできるようになれば(ザナドゥプロジェクトなんてありましたね(笑))便利だろうと思う反面、特に楽しみとして読む本は、その装丁から厚さ、重さまで含めて楽しむというちょっとフェティシュな快感もありますし、中々難しいところであります。(2000-3-2)


'98年江戸川乱歩賞受賞の福井晴敏氏の受賞後第1作「亡国のイージス」(講談社)を遅れ馳せながら読みました。まさに一読置くあたわずという感じで一気に読んでしまいました。日本政府に反乱を起こした自衛艦の内外を舞台としたアクションとサスペンス、と言ってしまうと陳腐ですが、とにかく筆力で読ませます。ラストも結構泣けるし・・。海上自衛官の友人がいるので、是非読んでもらって感想を聞きたいところです。それにしても江戸川乱歩賞も昔とすっかり受賞作の傾向が変わってしまった感ありです。(2000-2-16)


あの京極夏彦氏の連作”でぶ”シリーズが遂に単行本化、「どすこい(仮)」(集英社)が出ました。雑誌掲載中から大笑いしてましたが、まとめて読むとますますすごいです。他のシリーズのシリアスさとのあまりの落差にあきれるか否かは読む人次第でしょうが、私は好きです。こういう大馬鹿小説。それにしてもパロディの元ネタにされた作家諸氏は本当はどう思ってるんでしょうかね。(2000-2-3)


好きな作家にも上げた塩野七生女史の「ローマ人への20の質問」(文春新書) を早速ゲットしました。古代ローマに関して意外と誤解されている点(例えば「パンとサーカス」や奴隷制について)を含め、Q&A形式でローマ史に関する女史の知見を手軽に楽しめる本です。年1で発行中の「ローマ人の物語」のエッセンスという感じで、世界史の教科書で高々数ページの裏に広がる世界が見えるようで、特に歴史に興味のない人にもお勧めです。ちなみに、ローマ史上の人物で私が憧れるのはユリウス.カエサルですが、共感を覚えるのは第2代皇帝のティベリウスです。(2000-1-31)


「このミステリがすごい」など各種書評でのきなみ1999年度外国作品ベスト1だったスティーヴン.ハンター(名前も凄い!)の「極大射程」(新潮文庫)をようやく読みました。CIAがらみの陰謀に巻き込まれ、大統領暗殺未遂犯として追われる羽目になった狙撃のプロフェッショナルのワンマンアーミーばりの脱出行と逆襲、彼を追いながらも逃げられ、左遷された間に隠された陰謀に気づき彼とともに陰謀の黒幕に立ち向かうFBI捜査官。二人のプロフェッショナルの奇妙な友情。また立ち向かう陰謀の黒幕もまたプロフェッショナル。まさに息もつかせぬプロットと細部まで書き込まれたディテールが冒険小説ファンにはたまらない、確かにお勧めの逸品という感じでした。(2000-1-18)


あのトム.クランシーの新作「レインボー・シックス 1,2」(新潮文庫)を読みました。シリーズキャラクターのジョン.クラークが多国籍対テロリズムチームの指揮官として、カルト的なテロリスト組織を相手に活躍するというもの、とりあえず年末刊行予定の3,4を続けて読みたいところです(それにしてもクランシーの本は出る度に長くなっていくなあ)。ライアンシリーズからのキャラクターも活躍し、あえて名前の出ないアメリカ大統領がジャック.ライアンであることがシリーズ読者であればわかるのがご愛嬌でしょう。

などと書いている内に、3,4が出てしまいました。一読した感想としては、そつなくまとまっているけれど、敵役の狂信的自然保護主義者グループの造形がちょっと単純すぎるかなという感じです。相変わらずクランシーは「強いアメリカ」「アメリカンウェイオブライフ」を本当にシンプルに信じているんだな、との感があり、それが一つの魅力であるとともにちょっと臭みになっているようです。その点は同じようなテクノスリラーを書いていても日本人作家には絶対書けない味になっていると思います。('99-12-28)


     


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